パリ同時多発テロで再び高まる難民問題

英国のEU離脱を問う国民投票にも影響か

RSS

2015年11月17日

サマリー

◆2015年11月13日、フランスのパリ中心部で発生した同時多発テロは、多数の死傷者を出した。テロ実行犯の一人が、難民を装ってシリアからギリシャ経由で欧州に入国した疑いが強まっており、大きな波紋を呼んでいる。


◆テロ直後の11月15日から開催されたG20アンタルヤ・サミットにおいても、欧州委員会のユンケル委員長は、テロリストと難民とを一緒にして考えることがないようにと述べるなど、難民問題へのアプローチに変更がないことを強調している。またメルケル首相の主張にも変化はなく、今回の同時多発テロにより、難民受け入れに寛容な姿勢を大きく変える必要が無いことを示している。


◆しかし英国では、今回の同時多発テロを契機に、再度、移民排斥の世論が高まり、2017年末までに実施される予定の英国のEU離脱を問う国民投票にも影響する可能性がある。10月の世論調査では、EU離脱と残留希望の数字が、同じ40%に並んでいる。その矢先の同時多発テロの発生であり、現行の移民政策への反対がさらに高まることは容易に想像できる。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。