主要統計からみるギリシャ経済

2009年の危機発生以降、低迷が顕著に

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2015年07月16日

サマリー

◆2009年10月に財政赤字の隠匿が判明して以降、債務危機で揺れるギリシャだが、そのGDP(名目、2014年)はユーロ圏のわずか1.8%を占めるにすぎない。日本のGDPと比較しても5%程度であり、経済規模は大きいとは言えない。とはいえ、ユーロ圏からの離脱観測や、債務問題が他の南欧諸国へと波及するとの懸念から、ギリシャ問題はEUだけでなく世界から注目されている。こうしたギリシャの経済状況を、近年の主要統計から再確認しておきたい。


◆近年のGDP統計を見ると、ギリシャ経済は2008年から悪化し6年連続でマイナス成長となった。2008年から2013年までの間にGDPの26%を失っている。しかし、2014年には個人消費と建設を除く設備投資の下げ止まりにより、実質GDPは前年比+0.8%とわずかながらプラス成長となった。


◆主要産業である観光業は堅調であり、経常収支赤字の縮小に大きく貢献している。特に2014年はユーロ安の影響を受けて、ユーロ圏以外からの観光客が増加した。経常収支は対GDPで大幅な赤字が続いていたが、サービス収支の受取増加と、貿易収支赤字の縮小から2013年以降は黒字となっている。


◆輸出は2009年に大きく落ち込んだが、その後2012年までは主要輸出品目である鉱物燃料輸出がけん引役となって増加を続けた。その後、2013年、2014年はEU域外向け輸出が落ち込んだことから、2年連続で輸出は小幅なマイナス成長となっている。


◆物価は、2010年は増税の影響から高進したが、2013年、2014年はマイナスの伸びとなり、デフレ状態にある。雇用の悪化は深刻であり、25%を超える高い失業率となっている。

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