サマリー
◆ギリシャの財政支援問題が、6月30日の期限切れを前にいよいよ大詰めを迎えている。6月22日のユーロ圏財務相会合とユーロ圏首脳会議は結局、大きな進展なく終わった。ただ、その直前にギリシャが新たな改革案を提示しており、これをたたき台として24日に改めてユーロ圏財務相会合が開かれることになった。ここで協議をまとめ、25日と26日の日程で開催されるEU首脳会議で、ギリシャ支援延長の合意がまとまれば、「時間切れ」をなんとか回避できることになる。
◆今回のギリシャの提案は、現地の新聞報道によると、年金給付の削減こそ回避しているものの、早期退職制度の廃止、不動産税廃止の撤回、観光関連(ホテル、居酒屋、カフェ)に対するVAT(付加価値税)の税率引き上げ、国防費の削減などにより、財政収支を79億ユーロ改善するというかなり踏み込んだ内容となっている模様である。
◆6月末のギリシャの債務不履行(デフォルト)回避のためにはまずギリシャと債権者側がギリシャ第2次支援の延長で合意することが必要だが、この合意を双方の議会が承認する必要がある。特にギリシャ側は「反緊縮」を旗印に成立した与党内から、政府の財政緊縮策に批判の声が上がっている。野党の支持を取り付けて議会承認となる可能性が高いと予想されるが、月末ぎりぎりまで目が離せない状況が続こう。
◆なお、今回、財政支援延長が決まっても、ギリシャの財政及び経済状況が非常に厳しいことに変わりはない。また、増税中心の新たな財政健全化計画が見込み通りの成果を上げる保証はない。とはいえ、ギリシャ支援延長が決まれば、ギリシャが当面のデフォルトを回避できることに加え、経済再建と構造改革のための時間を確保できることになる。その際、ギリシャ経済再生のための投資プロジェクト策定などEUが果たすべき役割は大きい。
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