戦争か平和か

勝者なきウクライナ問題

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2014年04月28日

サマリー

◆4月26日、G7(主要7カ国)とEU(欧州連合)は、一連のウクライナへの軍事関与に対してロシアへの追加制裁を発動する構えを見せている。前回発動されたプーチン政権側近への資産凍結等の制裁に大きな効果がなかったことを受け、制裁対象者の拡大および貿易、金融面等での新たな制裁内容が発表される模様だ。


◆収束が遠のくウクライナ問題であるが、ウクライナ東部地域での全面的な内戦となり、ロシア軍の介入がやむを得ない状態になると、それは東スラブ民族間での戦争を意味することとなる。これはセルビア人、アルバニア人の民族間での争いから起こったコソボ紛争のケースとは大きく異なる。当然ながら、ウクライナおよびロシア両国民の多くを構成する同一民族間での戦争を望む者は誰もいない。


◆西側とロシアとのパワーバランスの行方が、同一民族間での戦いとなることを是が非でも避けたいのは、両国民の共通認識である。戦争か平和か、両国民にとって、望む答えはただ一つしかないといえる。勝者なきウクライナ問題の本当の勝者は、制裁でも軍事関与する者でもなく、先に自制する者であるといえよう。

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