サマリー
◆ユーロ圏の景況感指数はおおむね9月まで悪化傾向にあるが、7、8月の鉱工業生産は予想外に健闘した。この生産持ち直しが一過性のものなのか、それとも景況感指数が悲観に傾きすぎたのか、実体経済と景況感の乖離の行方が注目される。10月24日に発表される10月の製造業PMI指数の速報値、およびifo景況感指数がその方向性を示唆するものとなる可能性が高い。
◆輸出に底堅さがみられる一方、内需は停滞しており、ユーロ圏経済は年内はマイナス成長継続、2013年はごく低成長との見方を維持する。9月にECBが新しい国債買取プログラムであるOMTを発表したのに続き、10月にはESM(欧州安定メカニズム)がようやく始動し、セーフティーネットの構築が進んでいる。ただ、これだけで消費者や企業のマインドを改善させるには力不足であろう。内需を圧迫している財政緊縮路線に大きな変更はみられず、ユーロ圏各国が相次いで公表した2013年予算案はいずれも財政健全化を目指す内容となっている。
◆英国経済は個人消費が久々に牽引役となって7-9月期はいったん前期比プラス成長になったと推測される。雇用改善にインフレ圧力低下が加わり、9月の小売売上高は予想以上に高い伸びとなった。問題は、足元の雇用増がオリンピック開催効果で押し上げられていることと、保守党政権が財政緊縮策の見直しに動く気がないことである。本格的な景気回復への道のりは英国もまだ遠いとみている。
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