サマリー
◆英国保守党・自由民主党の連立政権による医療制度改革は、改革案発表時から物議を醸し、紆余曲折を経て改革法案が可決された後も医師会が法案廃止を要請するなど、その前途は平たんではない。
◆改革の骨子は、公的医療サービス機関に対する管轄省庁による細かな管理を廃し、患者のニーズを最もよく把握する医師に医療予算の権限を与え、公的医療サービスへの競争原理導入を促進するリーズナブルなものだが、公共サービスの民営化を嫌う国民の理解を得たとは言い難い。
◆連立政権の性質上、大幅な政治的な妥協が図られたうえ、度重なる修正を得た改革法案は実施が危ぶまれるほど複雑なものになり、現場の混乱は必至である。国民の生活に深く関わるシステムの改革にあたっては、徹底した議論と利用者の視点が欠かせない。高齢化が進み、医療制度への負荷が高まる日本は一連の顛末を鑑とすべきではないか。
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