サマリー
◆ギリシャがユーロ圏を離脱した際、及び留まった際に生じるコストはどのようなものなのか。本稿では、固定相場制下で金融危機を経験したアルゼンチンと香港の例を参考に論じることとする。
◆2カ国(地域)のケースから示唆されるのは、ギリシャがユーロから離脱するにせよ、留まるにせよ、甚大な経済的コストは避けられないという点である。前者を採った場合、アルゼンチン同様、ギリシャは債務の実質的な返済負担の増加に直面する。一方、ギリシャがユーロに留まれば、デフレを伴う長期に亘る経済停滞に陥ることになろう。
◆さらにギリシャは、本稿で論じるアルゼンチン・香港のケースよりも甚大なコストを支払わなくてはならなくなろう。現在のギリシャの対外債務は、02年のアルゼンチンのそれを大きく上回る。また、長期にわたるデフレを耐え抜いた香港と比較して、現在のギリシャはすでに景気が著しく悪化している。従って、残された処方箋は、政府債務の大幅な削減しかないという結論になろう。
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