サマリー
◆フィリピンでは2022年5月に正副大統領選挙が実施される。マルコス元大統領の長男であるフェルディナンド・マルコスJr.氏と、ドゥテルテ大統領の娘であるサラ・ドゥテルテ氏が、それぞれ大統領、副大統領候補として有力である。両者は、現在も支持率の高いドゥテルテ現大統領の政策方針を踏襲すると表明しており、インフラ投資を中心とした同氏の政策方針から大きく逸脱する可能性は低い。
◆マレーシアでは、2022年中の総選挙は予定されていない。ただし、連立与党の中核政党であるUMNO(統一マレー人国民組織)の中で解散総選挙へ向けた動きが強まれば、2022年中にも総選挙が前倒しで実施される可能性がある。総選挙までのシナリオとして2つ考えられるが、最も政権の安定につながるのは、イスマイル・サブリ現首相が続投する場合であろう。その場合、海外からの対内投資も安定的に増加する見込みである。
◆タイでは、反体制・王室改革デモや、タクシン派の増勢、政権内部の対立を背景に、早期の解散総選挙を予想する見方がある。プラユット政権下では、長期的な視野に立ったタイ経済の高度化政策が評価されており、今後も「デジタル化」「脱炭素化」「医療」産業への投資が増加する見込みである。仮に、タクシン派「タイ貢献党」と民主派「前進党」が、総選挙を経て連立政権を発足させた場合、タイ経済の高度化へ向けた政策がトーンダウンする可能性には注意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
なぜベトナムは「不平等協定」を結ぶのか
米国・ベトナムの「ディール」を解明する
2025年08月14日
-
米国抜きの連携拡大~CPTPPのEU拡大が意味すること
「反米色」を排除しながら自由貿易の枠組みを強化、アジアに恩恵も
2025年07月23日
-
インド経済は堅調か?2025年度Q2以降の見通し
個人消費とインフラ投資がけん引役。利下げが都市部の消費を刺激へ
2025年07月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日