中国の生産代替地になりうるのはどこか?

米中貿易摩擦によるアジア新興国への影響

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2019年07月26日

  • 古橋 櫻子

サマリー

◆昨今の米中貿易摩擦の深刻化・長期化は、中国を中心とするサプライチェーンに組み込まれ、対中貿易依存度が比較的高いアジア新興国にも経済的悪影響をもたらしている。一方、制裁関税を回避するため、中国の対米輸出がASEANをはじめとするアジア新興国などの第三国に代替され、中国から同諸国へ投資・生産がシフトするなどのプラスの影響もありうる。

◆各種統計からアジア新興国を比較し、中国の生産代替地になりうる国について検討したところ、ベトナムが最も有望という結果になった。ただし、米国はベトナムとの貿易赤字に対する懸念から制裁関税を発表した。ベトナムに限らず、中国からアジア新興国への生産代替が特定の国に集中した場合、当該国に対する米国の貿易赤字はさらに拡大し、新たな制裁関税を課す可能性がある。この状況を前提として企業目線に立った場合、企業は中国の生産代替地の候補先として複数のアジア新興国を視野に入れることでリスクを分散させ、新たなサプライチェーンの構築を図ることが重要であると考える。

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