新興国経済ニュースレター(2019年6月)

自律性の欠如が景況感の悪化に拍車をかけるか

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2019年06月06日

  • 児玉 卓

サマリー

◆足元では米FRBによる利下げ期待が金融市場のなだめ役となっているが、米中摩擦再燃による経済の下方リスクの程度が読み切れない状況が続いている。世界的な景況感の悪化は新興国からの資本流出圧力を高め、むしろ金融政策は引き締め気味に運営せざるを得なくなる。こうした政策決定にかかわる自律性の欠如が、新興国には追加的な重石として作用する。

◆新興国全般に吹く逆風と無縁に見えるのが、総選挙の結果モディ氏の続投が決まったインドである。しかし、与党圧勝の構図は、かつてのクリミア併合後のプーチン人気復活と同じであることは肝に銘じたい。経済的には、“Make in India”という正しいスローガンを実現に導くことが同国の最大の課題だが、一期目のパフォーマンスに見るべきものは少なかった。市場は何を歓迎しているのだろうか?

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