新興国マンスリー(2018年7月)誰が米国を止めるのか

~米国流ナンセンスの抑止力を失った国際社会~

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2018年07月04日

  • 児玉 卓
  • 経済調査部 経済調査部長 齋藤 尚登
  • 金融調査部 金融調査部長 山崎 加津子
  • 永井 寛之
  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆新興国での利上げモードが拡散しつつある。フィリピンやインドなどは足元の景気の強さが利上げを可能としている側面もあり、為替防衛的な色彩は相対的に薄い。だが、ドル高圧力が長期化すれば、こうした勝ち組も巻き込みながら、新興国全般の経済的な疲弊が進むことになろう。

◆米国のナンセンスに対し、欧州をはじめ他の先進国が報復で応じたことで、国際社会は米国のナンセンスを押しとどめ、軌道修正を促す機能を失いつつある。米国のドメスティックな声が、ナンセンスの抑止力を発揮する期待は残っているが、さしあたりは貿易摩擦が深刻化・長期化するリスクが高まりつつあると認識すべきだろう。それは世界的な景況感を悪化させ、新興国経済には更なる重石としてのしかかってくる恐れがある。

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