ベトナム:高成長を牽引する外資系企業

今後交通インフラの不足が経済・社会問題化するリスクも

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2017年05月18日

サマリー

◆ベトナム経済は近年高成長を実現してきた。高成長を牽引した主体の一つは、製造業を中心とした外資系企業である。実際、工業生産高を見ると、外資系企業の伸び率(前年比)は2011年以降、ベトナム国内企業のそれを上回っており、輸出金額も2010年以降は工業生産高と同様の状況である。


◆外資系企業がベトナムでビジネスを展開する主な理由として、①低賃金ながらも基礎教育をしっかり受けた質の高い働き手が多いこと、②労働者の多くがベトナム人で構成されていること、③インフラ整備が着実に進展したこと、などが指摘できる。


◆ただし、今後交通インフラの不足が経済・社会問題化するリスクには注意が必要であろう。まず、政府債務が上限近くに到達したことを背景にインフラ開発のペースが鈍化する可能性がある。さらに、現地ヒアリングでは、政府の実行力不足が都市部におけるインフラ整備の遅れに繋がるという指摘もあった。ベトナムより経済発展が進んでいるフィリピンやタイでは経済成長に伴い、道路・空港・港湾などの交通インフラの不足が経済および社会的問題としてクローズアップされる場面が増加した。こうした問題がベトナム国内で発生する可能性を少しでも減らすべく、同国政府がインフラ整備に強い実行力を以て取り組めるかが注目される。

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