ポスト・チャイナとしてのインドネシア

現地視察を終えて

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2016年04月14日

  • 児玉 卓

サマリー

◆インドネシアの政府関係者などがそろって強調するのが、労働集約的製造業振興の必要性、そして国内に落ちる付加価値の拡大である。労働集約的製造業への志向は、同国の人口規模、若さ、そして中国が同分野の競争力を失いつつあるという外部環境に照らして理に適っている。


◆一方、付加価値へのこだわりは、それ自体、経済的な合理性に乏しい。特に、昨年末に発足したAEC(ASEAN Economic Community)の理念、統合のメリットに背を向けたものに見える。しかし、これを資源依存からの脱却に向けた意思表明と読めば、一応筋は通ってくる。実際、インドネシアのような人口大国が持続的な成長を実現するには、その柱に「工業化」を据える他はない。資源依存の継続が実質為替レートの引き上げをもたらすようなことになれば、ポスト・チャイナとして、製造業主導の成長を実現することは難しくなる。

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