ASEAN NOW (Vol.16)

大メコン圏の労働移動

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2012年09月05日

  • 佐藤 清一郎

サマリー

◆カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムにおける国境を越えた労働移動を見ると、カンボジア、ラオス、ミャンマーからはタイへの移動が多く、一方、タイとベトナムからはカンボジアへの移動が多い。タイへの労働移動が多い背景には、周辺国との経済発展格差やタイの外国人労働者政策がある。タイ、ベトナムからカンボジアへの労働移動は、紛争等で離散した親戚関係によるものと見られる。

◆カンボジア、ラオス、ミャンマーからタイへの労働移動の内、ミャンマーからの割合は82%と圧倒的である。これらの外国人労働者がタイで従事する業種で多いのは、農業、建設、海産物加工、家事労働等となっている。これは、外国人労働者はタイ人の雇用機会を奪ってはいけないという基本政策が影響しているとみられる。

◆現状は、ミャンマーからタイへ移動する外国人労働者は極めて多いが、ミャンマーが民主化に政策転換し始めたことで、今後、様子が変わってくるかもしれない。ミャンマー国内での雇用機会が増加して、ミャンマーからタイへの労働者の流れが減少する可能性もある。タイとしても、労働力確保という観点から考慮しておくべきことかもしれない。

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