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中国社会科学院「中国経済の構造転換のエネルギーは世界に広がる」

2017年06月02日

楊盼盼

4月17日に統計局は、2017年第1四半期の中国の実質GDP成長率は6.9%と発表した。2015年第4四半期以来の高い値となり、今年の経済は好スタートを切った。国際通貨基金(IMF)も2017年4月に発表した「世界経済見通し」において、2017年の中国の経済成長率を6.6%と予測し、世界全体の経済成長率は3.5%、新興国や発展途上国の経済成長率を4.5%としている。中国経済の成長が世界経済の成長をリードする状況が続く。それは世界経済の回復を支え、中国が世界経済の成長の約3分の1に貢献しているとIMFは推定している。


加えて、中国経済の構造転換がもたらすプラスの影響も注目に値する。


中国経済は投資主導から消費主導への転換を進めており、これが消費需要のスピルオーバー効果を国外へもたらしている。2017年第1四半期の消費の伸び率は5.3%で、経済成長率に対する寄与度は77.2%と、2012年第1四半期以来の最高記録を更新した。同時に、消費者マインドはここ10年で最高の状態にある。強い内需によって輸入が大幅に増加し、2017年1月~3月の季節調整済み前年同期比の輸入伸び率はそれぞれ17.6%、11.8%、20.1%であった。中国の輸入需要は他国の輸出に対応しており、他国の重要な輸出市場として、多くの国の経済回復を支える重要な一因となっている。中国の輸入伸び率の上昇は主な貿易パートナーの国の輸出を好転させ、経済成長率の上昇をもたらしている。東アジア地域を例にすると、中国の第1四半期における韓国、インドネシア、シンガポール、ベトナムからの輸入伸び率は前年同期比で各12.8%、55.8%、54.6%、23.4%であった。これが各国の輸出を大幅に増加させた原因である。これら各国の輸出伸び率(第1四半期、前年同期比)はそれぞれ15.0%、21.0%、18.0%、16.5%であり、輸出の増加が東アジア地域の国々の景気回復を牽引している。


かつて、加工貿易への依存は中国の対外貿易の大きな特徴であり、中国と他国の貿易の一部は中国の需要に直接は対応しておらず、第三国(欧米など)の需要に対応していた。しかし、現在その状況が変化してきている。2006年の中国の輸入における加工貿易(訳者注:外国側と中国側で委託加工契約を締結する。国内販売ができない)と一般貿易(訳者注:通常の輸出入。国内販売が可能)の割合はほぼ同じで、どちらも40%前後であった。これが、2016年には一般貿易の割合が56.4%に上昇し、加工貿易は25.0%に低下した。さらに、2017年第1四半期は一般貿易の比率が59.9%へ上昇し、加工貿易は22.6%へ低下している。この変化(一般貿易の比率上昇と加工貿易の比率低下)は、中国市場の最終需要者としての影響力が急上昇していることを示している。OECD(経済開発協力機構)/WTO(世界貿易機関)が発表した付加価値貿易指標によると、現在、世界経済において中国の需要がもたらす付加価値の規模が加速的に拡大している。2001~2006年の年平均伸び率は13.5%、2007~2011年の年平均伸び率は23.5%に上昇した。これらのデータは、中国経済の構造転換および国内需要の増加が貿易ルートを通じて直接的に他国へポジティブな影響を与えていることを示している。


中国経済の構造転換がもたらすスピルオーバー効果は多方面で注目されている。IMFは2016年10月に発表した「世界経済見通し」で一章分の紙面を使って中国経済の構造転換による効果について論じている。その中では、中国経済の安定した構造転換による長期見通しについては楽観し、短期的には中国がバリューチェーンの先端へ移ることで、多くの国に新しいチャンスがもたらされ、二国間や地域レベルでの協力が実体経済にポジティブなスピルオーバー効果を与えると積極的に支持している。正にこれはグローバル化に逆行する潮流が沸き立つ中で、中国が大いに推進している主張であり、2017年5月に開催される「一帯一路(シルクロード経済圏構想)」首脳会議がその例証となる。


世界経済に回復の兆しが見えている中、中国経済の構造転換による需要拡大というエネルギーは世界に放出され、多くのルートを通じて生じるスピルオーバー効果はポジティブな影響を与えている。中国にとって、スピルオーバーの波及を受動的に受け止める立場から、自身が外部へ効果を産み出す立場への、非常に顕著な変化である。最大の新興経済国として、中国は他の新興国と明らかに異なる特徴を有している。中国以外の新興経済国と先進国は経済成長の変動において依然高い連関を保っており、新興国は先進国の経済変動に対して脆弱である。しかし中国と先進国との経済成長のサイクルは、かなり関係が切り離されている。一方で、他の新興経済国の成長動向と中国とは金融危機の後にその関連が強まり、新興経済国の中国への依存度が高くなっている。成長レベルが比較的高く、成長率の変動が比較的小さい中国は、新興経済国にとっては先進国以外の成長の牽引者としての新たな選択肢となっている。


これは、中国の積極的な開放促進が、世界経済にさらに多くのプラスのエネルギーを放出することにつながる。それは、中国が世界経済の政策の調整に深く関与し、国際経済のガバナンスの整備に寄与し、ひいては世界経済の長期的発展を促進していくための新たな好機を提供することを意味している。

(2017年4月発表)


※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。

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