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	<title>中国社会科学院 | 大和総研</title>
		<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/index.html</link>
		<language>ja</language>

		<item>
			<title>金融リスク抑制の十年を点検する</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20180920_020315.html</link>
			<pubDate>Thu, 20 Sep 2018 09:30:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
    
    10年前にサブプライム問題から端を発した世界金融危機は、国際社会に大きな衝撃と影響をもたらした。金融リスクの余波はいまだに収まっておらず、世界経済は復興の途上にある。この10年、金融リスクを抑制し、リスクによる損失を少なくするため、米国や英国などでは絶えず監督管理体制や政策に対して大なたを振るって改革を進めてきた。各国の改革には差異があり、様々な調整を繰り返しているが、改革の目標や方向性などから、その多くはシステミック・リスクを防止する、マクロ・プルーデンス機能を強化する、金融消費者の権益を十分に保護するなどの要素に注力されている。

システミック・リスクの抑制は各国で普遍的に行われている。システミック・リスクとは、個々の金融機関が各種取引や決済ネットワークを通じて相互に結び付いていることによって、特定の問題が金融システム全体や市場に激しい変動や、ときに崩壊までを引き起こす可能性を指す。システミック・リスクが発生する要因は数多くあり、経済のファンダメンタルズの大きな変動や、大型金融機関の倒産、投資家や消費者の心理変化や外部のシステミック・リスクからの波及などがある。現代の金融システムはますます複雑化し、システミック・リスクは金融安定の重大な脅威となっている。したがって、サブプライム問題後の世界の主な国と地域が実施している金融監督改革では、自然とシステミック・リスクの監督管理に重点を置くようになっている。

米国はシステミック・リスクの監督管理を強化する重要性を十分に認識しており、全ての「システム上重要な金融機関」に対して、高い自己資本比率を維持させ、ハイリスク投資や高レバレッジ投資等の制限を強化している。英国ではシステム上重要な大型金融機関や金融市場に対して、金融リスク抑制のため、コーポレートガバナンス・システムを改善することで市場の透明性を高め、インセンティブ措置を講じるなど市場の規律や制約を強化している。ヨーロッパでは、欧州システミック・リスク理事会（ESRB）を設立し、マクロ経済や金融システム全体の発展過程において金融の安定を脅かすリスクの監視や評価を担っている。

これに対し中国では、中国共産党第19回全国代表大会で、システミック・リスクを発生させない最低ラインを守ることは、現代中国の金融市場の発展と監督管理改革に対して提出された最重要の任務であり、要求であり、目標である、としている。金融リスク発生の防止は全面的な小康社会建設のための「三大難関攻略戦」（訳者注：三大難関とは、金融リスク防止、貧困脱却、汚染対策）の筆頭でもある。システミック・リスクを防止することは中国特有の問題ではなく、突然現れた問題でもない。この10年、世界でつきまとってきた普遍的な問題である。

システミック・リスクを抑制するには新たな組織が必要である。各国・地域の金融システムには、多くの金融監督機関が存在している。例えば、米国には米国証券取引委員会（SEC）、米国商品先物取引委員会（CFTC）、米連邦住宅金融局（FHFA）、その他銀行監督機関などの監督当局が存在し、金融の安定機能を担う米連邦準備制度理事会（FRB）がある。英国はサブプライム問題発生前に相対的に統一された監督管理を実現しており、金融市場の監督機能を担う金融サービス機構（FSA）、金融システムの安定を担う財務省やイングランド銀行といった金融監督機関の間の役割分担が存在していた。EUの問題はさらに複雑であり、EU側には欧州中央銀行と3つの金融監督機関があるだけでなく、数多くの加盟国の金融監督当局が存在している。多くの監督機関が存在するということは、各機関の間の職責や権限が明確でなく、規制のアービトラージが起こり、そこから監督管理基準が低下してしまう。ただ、多くの監督機関が存在することにはいくらか優位な部分もあることを否定できない。例えば、インセンティブ・メカニズムが形成され、競争を促し、有効な監督管理を市場に提供することができる。

世界的に見ると、監督機関が多く存在することは各国の金融監督体制の選択であり、監督機関の間で協調していく必要性が長期的に続いていくことを意味している。このため、各国の改革では各国間の協調を強化すること、実体化・制度化された協調的な金融監督機関を設立することを要求している。世界的には、G20財務大臣中央銀行総裁会合で金融安定化フォーラム（FSF）を金融安定理事会（FSB）として再構成し、世界の金融監督機関の協調を統括する新たな部門とした。

米国では金融安定監督評議会（FSOC）を設立して、監督基準を統一し、監督機関の意見の相違や対立を調整し、システミック・リスクを識別して具体的に監督機関に対してリスクの提示を行っている。中国では、2013年に国務院が金融監督協調の部局間合同会議制度を承認したことはマクロ・プルーデンス体制を整備する第一歩であり、2017年の国務院金融安定発展委員会の正式な設立もこの改革の流れに沿ったものと言える。同時に、中国の行政機関部門の改革が進められても、「一行両会」（訳者注：中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会を指す）体制は相対的に独立した立場を長期間維持していくだろう。

システミック・リスクを抑制するには、中央銀行がより多くの責任を負う必要がある。サブプライム危機をきっかけに金融システムが崩壊し、世界経済に重い打撃を与えたことは、金融と経済システムが正常に機能していくために金融の安定が重要であることを、悪い面から再度実証したことになる。「ドッド・フランク法」の提言のもと、FRBは、さらに多くの金融監督機能を付与された。その範囲は銀行、証券、保険、ヘッジファンド等、その他「システム上重要な金融機関」まで含まれる。FRBはSECに代わって投資銀行の持株会社に対する監督管理を実施し、緊急融資の権利を修正して危機対応能力を強化する。改革に共通する特徴は、通貨当局の金融安定機能を強化することである。

このような背景の下で、金融の安定を維持することは、中央銀行にとって金融政策の実施と同等の重要性を持つ職責となり、その対応すべき範囲と分野は顕著に拡大し、銀行系金融機関に限らず、全ての「システム上重要な金融機関」をカバーするようになった。

2018年初めに、中国銀行業監督管理委員会と中国保険監督管理委員会が統合され、中国監督管理体制を調整する実際の作業が開始されたことで、マクロ・プルーデンス管理機能がさらに明確になった。新たな改革プランでは、中国銀行業監督管理委員会と中国保険監督管理委員会が持っていた監督管理の基本制度を制定する権限を中国人民銀行に組み入れて、中国人民銀行に金融政策機能とマクロ・プルーデンス機能を集中させた。その「金融政策とマクロ・プルーデンス政策の二本の柱をコントロールする枠組み」もこの改革を通して次第に鮮明となってくるだろう。今後、中国人民銀行は金融政策機能を担当する他にも、マクロ・プルーデンス管理、システム上重要な機関、金融の基礎的環境の建設、基礎的法規制システム、統計分析、予測・警報などさらに多くの作業を担っていく。

システミック・リスクの抑制には、金融消費者保護を強調しなければならない。サブプライム問題で露見した重要な問題の一つに、現代の金融商品が複雑化したため、その特徴を理解し、そこに含まれる金融リスクを正確に評価することが難しくなったことがある。そのため、慎重な判断に基づいて取引をすることができず、最悪の場合、不公正取引に陥ることがある。これに対し、米国は独立した消費者金融保護局（CFPB）を設立し、英国は新たに金融行為規制機構（FCA）を設立した。いずれも具体的に消費者利益の保護を担っている。中国は2012年から、「一行三会」（訳者注：中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会、中国保険監督管理委員会、中国証券監督管理委員会の総称）がそれぞれの金融消費者（一般投資家）保護局を作り、一般投資家の権益保護を金融監督管理または金融業発展の重要目標の一つとした。2015年12月末に発表された「金融包摂の発展計画（2016-2020年）」でも一般投資家保護の法律体系をさらに整備していくことを明確に示している。

システミック・リスクの抑制にはデータや情報によるサポートが必要である。金融監督当局にとって、その活動の展開と効果は、把握している金融情報に委ねられている。金融危機の発生と連鎖は、金融監督当局が十分に関連情報を把握できず、タイムリーな対応ができないことと密接な関係がある。そこで、各国の監督管理改革では金融情報の収集と処理に重点が置かれている。具体的には、次の何点かが挙げられる。まず、監督当局がリスクの状況を把握するため、各種金融機関、とりわけ新たに監督対象となった金融機関と「システム上重要な金融機関」に対して、タイムリーに情報を報告させる。次に、金融取引の過程での情報開示要求を強化する。最後に、監督当局間の情報共有を実現することである。2011年から中国人民銀行は社会融資総量という概念を取り入れ、統計と見積もりを行い、定期的に発表している。長年のデータの蓄積により、社会融資総量はマクロ経済コントロールにおける重要な参考データとなっている。2018年3月16日、中国銀行業監督管理委員会は「銀行業系金融機関のデータ管理の手引き（意見募集案）」を発表し、銀行業系金融機関のデータ管理を強化し、そのデータ管理の状況とコーポレート・ガバナンス評価を監督管理評定と関連付けるよう指導している。4月9日に国務院弁公庁は「金融業の総合統計の全面推進に関する意見」を発表し、安全かつ先進的で整備された国家金融データベースの構築と金融データの管理手段を強化することを提起している。

（2018年8月発表）

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。

        



    
 中国社会科学院　原文レポート

    
    
        ]]></description>
		</item>
			
		<item>
			<title>中国社会科学院「今後の不良債権に対応するために実施すべき三つの方策」</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20180308_012808.html</link>
			<pubDate>Thu, 08 Mar 2018 09:30:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
    
    2010年から2016年にかけて、中国の経済成長率は10.6％から6.7％に低下した。マクロ経済の減速に伴い、経済成長の安定化を図るため、中国政府は様々な方策を講じた。もちろん金融緩和策の拡大もその一つである。その結果、6年間で融資あたりの経済成長率は明らかに低下した。同時に、経済成長に必要とされる融資規模は拡大する一方だった。要するに、金融緩和による経済成長は持続可能ではないのだ。経済の安定化とともに、経済成長率の維持は問題ではなくなった。しかし、長期にわたり金融緩和を実施した結果、金融リスクの増大が無視できなくなった。そのため、中国政府は経済政策の重心を成長からリスク管理に置くようになった。その理由は二つある。一つは、資産価格が実体経済から離脱してバブル化（＝虚構経済）する現状を打破し、金融システムを補強すること。もう一つは、金融リスクの連続的な発生を防ぐことである。

2016年末から、中国人民銀行、中国銀行業監督管理委員会、中国証券監督管理委員会、中国保険監督管理委員会（通称「一行三会」）は「リスク管理、レバレッジ解消」に注力し、これによって、金融リスクの発生を回避している。新たに発足した国務院金融安定発展委員会も調整役として「一行三会」の監督管理を円滑化させる機能を持っており、監督管理の空白を埋め、「一行三会」の組織間の管理監督権の争奪戦を防ぐことにもつながった。第19回党大会の報告は、金融政策とマクロ経済に対する慎重な管理監督を並行して行う方針を再び盛り込んだ。それは、党大会以後も比較的厳しい金融政策が継続することを意味する。さらに、同報告は不動産価格のコントロールと為替相場の安定も、マクロ経済に対する慎重な管理監督の対象範囲とすることを記している。客観的に言えば、ここ数年で急速に規模が拡大した金融システムは、金融業に対する監督強化によって方向転換を余儀なくされた。

商業銀行全体の不良債権リスクはまだコントロール可能だが、不動産市場で大きな調整が生じれば、不良債権比率が大幅に上昇する可能性がある。ここ数年、短期間で資産と負債規模を急拡大させた中小銀行の不良債権リスクが特に大きくなっている。資産側を見ると、一部の中小銀行のバランスシートの拡大速度は大手銀行を遥かに上回っている。しかし、近年の企業の投資収益率はおおむね低下しつつあり、資産を拡大させた中小銀行の潜在的な不良債権比率は相対的に高いと考えられる。他方、負債側を見ると、近年、一部の中小銀行はインターバンク市場を通じて短期資金を調達し、レバレッジをかけることで満期の長い投融資を行う傾向が強い。金融政策の変化または金融市場の変動により短期金利が上昇すると、中小銀行の負債コストはそれに連動して上昇する。場合によっては、資産と負債の満期のミスマッチに内在する金融リスクが顕在化する恐れもある。

1990年代末から2000年代初頭にかけて、中国の商業銀行は大規模な不良債権を処理した。主な処理方法は、財政部が特別国債を発行して調達した資金を四つの資産管理会社に注入した後、四つの資産管理会社がそれぞれ4大国有商業銀行（訳者注：中国工商銀行、中国人民建設銀行、中国銀行、中国農業銀行）から簿価で不良資産を買取り、それを処理するという形だった。つまり中央政府の財政が銀行の不良債権を肩代わりしたことになる。中央政府が資産管理会社を設立し、商業銀行の不良債権を移管することで、商業銀行は不良債権問題から解放され、その後、国内外の市場で上場することになった。しかし、当時と同じ方法で今日の不良債権に対応することは難しい。理由は五つある。第一に、中央政府の債務水準が当時を遥かに上回っていることである。1990年代末、中央政府の債務残高の対GDP比は20％未満だった。また地方政府も債務を抱えていなかった。現在は全く違う状況だ。政府によれば、中央と地方政府の総債務残高対GDP比は60％前後にまで上昇している。ここ数年、PPP（Public-Private Partnership）の手法が多用されているため、地方政府が抱える実質的な債務規模は拡大する一方だ。関係者の推計によると、中国の中央と地方政府の総債務残高対GDP比は、実はすでに80‐90％に上昇している。債務規模がかなり大きいため、かつてと同様に政府が銀行の肩代わりをすることはもはや不可能だ。第二に、前回の不良債権処理において、その対象となった4大商業銀行はいずれも国有銀行であり、政府が介入して不良債権をすべて処理した。現在、中国の銀行には様々な形態があり、債務整理の手法も違えば、政府に助けてもらう立場にもない。第三に、政府が銀行の不良債権を安易に肩代わりすれば、銀行は自ら問題を解決しようとしないというモラルハザードが発生するだろう。第四に、現在の銀行業は収益もよく、資本金と不良債権処理のための引当金が潤沢にあり、不良債権を処理する能力をある程度有している。第五に、20年前と比べて中国の金融市場は発展し、市場を通じた手法で不良債権を処理する潜在力を持っている。

今後、一部の商業銀行の不良債権比率が顕著に上昇すれば、「三つの方策」を実施して対応することができる。第一は、商業銀行が自ら不良債権を部分的にせよ処理することである。現状では、商業銀行のほとんどは資本金と不良債権処理のための引当金を十分に積んでいる。従って、商業銀行はまず準備金で対応し、準備金が足りない場合、資本金を活用することもできる。銀行が自ら不良債権を処理することこそが本当の意味での市場重視であり、銀行のリスク管理意識の向上ならびに経営理念への反映を促すことにつながる。

第二は、商業銀行の不良債権の一部を市場価格で不良債権処理会社に売却して処理する方策である。もちろん、銀行は不良債権を売却すると、一定の損失を被ることになる。そのため、専門的な資産評価機構を通じて、不良債権に対する正確な評価を行わなければならない。あるいは、第三者の力を借りて不良債権を証券化する手段もある。すなわち、商業銀行がリスクを共有しない特別目的事業体（SPV）に不良債権を譲渡し証券化させる。ただし、不良債権をバランスシートから切り離した商業銀行は、不良債権の譲渡後に一切の追加責任を負わないことを原則とする。

第三は、銀行が不良債権を自ら処理し、さらに証券化してもなお、依然として資本不足が顕著な場合、中央政府、地方政府、有力な国営企業と民営企業は、銀行に資本注入を行い、銀行の株式の一部を取得する方策である。その際、銀行と株主の利益を公平に扱うため、銀行資産に対して透明性をもって厳密に査定した上で、結果を公開しなければならない。

最後に、今後、中国の商業銀行の不良債権処理が行われる中で、二つの分野が伸びるであろうことを記しておきたい。

一つは債権の証券化である。商業銀行には不良債権を証券化する強い意欲がある。また、不良債権を処理した後に、優良債権の証券化を通じて、資産回転率を向上させ活性化を図ろうとする銀行が多い。債権の証券化によって、総資産回転率とレバレッジ比率が改善し、最終的には商業銀行の資本収益率が上昇することは我々の研究でも明らかになっている。また、証券化商品の氾濫を避け、その透明性を保てば、商業銀行における資産証券化の損失は許容範囲に収まるであろう。

伸びると見込まれるもう一つの分野は、不良債権の市場を通じた処理である。上述した通り、市場を通じた不良債権処理は、必ず重要な役割を果たす。言い換えれば、不良債権の査定、処理、再生などの業務に携わる専門的な独立機関は必ず大きく成長するだろう。これまでに、不良債権処理を主業務とする投資ファンドが多数誕生し急成長し、市場の新たな分野として、すでに注目を浴びている。

（2017年11月発表）

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。


        



    
 中国社会科学院　原文レポート

    
    
        ]]></description>
		</item>
			
		<item>
			<title>中国社会科学院「中国のシャドーバンキングの発展段階、主な特徴、潜在リスク」</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20170901_012262.html</link>
			<pubDate>Fri, 01 Sep 2017 00:00:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
        中国銀行業監督管理委員会（CBRC）は3月末から展開している3種類の裁定取引（監督・空転・関連鞘抜き）「規制アービトラージ（regulatory arbitrage）、空転アービトラージ（idle arbitrage）、関連アービトラージ（related arbitrage）」に対する規制強化において、インターバンク市場で取引される譲渡性預金（筆者注：以下、譲渡性預金）や理財商品（訳者注：日本における投資信託商品に類似）といった、この2年間で急拡大したシャドーバンキングの新たなスタイルを主な規制対象とすることを発表した。実際に2016年下半期以降、商業銀行の資産運用業務や、金融機関の資産管理業務をはじめとするシャドーバンキングの活動に対する、監督・規制が強まると同時に、2017年から実施されたマクロプルーデンス評価体系（MPA）も、譲渡性預金やオフバランスの理財商品、などを監督・規制の対象範囲としたのである。新たに打ち出されたこれらの一連の規制は、シャドーバンキングを対象とした全面的な監督・規制時代の到来を告げており、規制逃れにより信用を拡大させてきた従来の金融機関のビジネスモデルが困難に直面せざるを得ないことを意味している。

中国のシャドーバンキングの発展過程を振り返ってみると、2013年の前後で異なった2つの段階を経て成長して来たことが分かる。しかも、この2つの段階は異なる特徴を見せている。

2008年～2013年は第一段階である。同期間においては、「（銀行が発行する）理財商品—（非銀行金融機関が提供する）融資チャネル業務—非標準化債権資産(訳者注：銀行間市場及び証券取引所市場で取引されていない債権性資産)」が主な業務パターンであった。2008年から商業銀行の資産運用業務はすさまじいスピードで拡大した。理財商品は預金を上回る高リターンを売りに、資金を吸収し、監督・規制を巧みに避けながらオフバランスで信用貸付金業務を担った。非銀行金融機関の「融資チャネル業務」は、資金が流れるためのパイプ役を担っていた。2011年以前は、商業銀行と信託銀行の連携がメインであり、貸付信託といった理財商品が相次いで登場した。2012年の銀行・信託連携に対する監督・規制の厳格化に伴い、商業銀行と証券会社の連携が、商業銀行と信託銀行の連携に代わって爆発的な成長を遂げた。それ以降、商業銀行の連携相手は多様化し、商業銀行とファンドの連携、商業銀行と保険会社の連携などが新たなチャネルとして成長した。非銀行金融機関は、パイプ役としてのみ機能していたため、本来あるべき資産運用機能を発揮しなかったといえる。この時期に、銀行の理財商品の最終的な投資対象は、主に非標準化債権であった。これは金融システムから実体経済に向けて資金が流れる一つのルートであった。2009年以降、「4兆元」の景気対策が巻き起こした投資ブームのなかで、比較的高いリターンと政府の実質的な保証により、銀行の預貸率などへの監督・規制を避けながら、上記の構図を用いて、大量の資金が地方の融資プラットフォーム（訳者注：地方政府がインフラ投資等を行うために設立した資金調達会社）と不動産業に流れ込んだ。他方で、中国銀行業監督管理委員会が2013年に公表した8号文書は、上記構図の下で非標準化債権に資金が流入することを全面的に規制した。結果、規制回避の余地が縮小したことから、これ以降、シャドーバンキングはオンバランスのインターバンク業務などを通じて、監督・規制を回避しながら、投融資を行うようになる。

2013年～2016年は第二段階である。この期間において、インターバンク業務のイノベーションが重要視され、とりわけ2014年以降、シャドーバンキングは、「インターバンク業務—外部委託（非銀行金融機関との協力）—債券などの標準化資産への投資」が主要な形式となった。2013年から2014年にかけては、信託受益権や手形などの買戻し条項付きで売却することを通じて、非標準化債権への投資を一時的にオフバランス化し、規制を逃れる方法が用いられた。2014年に127号文書が打ち出された後、買戻し条項付の売却を活用した非標準化債権への投資は停止された。その後、比較的規制の緩い売掛金に非標準化債券を計上する方法が代替手段として急速に発展した。同時に、インターバンク業務はイノベーションのピークを迎えており、インターバンクの譲渡性預金を用いた資金調達（訳者注：銀行同士で売買される譲渡性預金）やインターバンク理財商品（訳者注：銀行が発行した理財商品をその他の銀行が投資）の登場は、銀行の負債調達方法を多角化させた。つまりは、商業銀行間、さらには商業銀行と非銀行金融機関が連携し、「インターバンクの譲渡性預金—インターバンク理財商品—外部委託投資」という新たなシャドーバンキングの仕組みを作った。この時期の最終的な投資対象は標準化資産(訳者注：銀行間市場及び証券取引所市場で取引される債権性資産)が主であった。実体経済の成長速度の鈍化及び非標準化債権に対する厳しい監督・規制により、信用貸付関連のリターンが徐々に低下し、理財商品やインターバンクで調達した資金も徐々に株と債券などの標準化資産へ流れることになった。2014年下半期から2015年上半期にかけて、理財商品は、異なる形のアンブレラ型投資信託（訳者注：一つの投資信託を傘に見立て、傘の下に複数のファンドを設定。銀行は株式への直接的な投資が禁止されているが、元の投資信託に投資をすることで間接的に株式に投資）等を通じて、株式市場に流れた。その後、株式相場が暴落したことで、債券市場が理財商品やインターバンクで調達した資金最終的な投資先となった。「中国銀行業理財市場年度報告」の統計によると、2016年上半期において、債券に投資された理財商品関連の資金だけで、投資総額の40.4％にも達したとされる。

中国のシャドーバンキングの発展過程から見ると、以下のいくつかの特徴が挙げられる。

第一に、「銀行の中心化」は中国式シャドーバンキングの主な特徴である。銀行の貸借対照表（バランスシート）に計上されるか否かを問わず、信用仲介機能に関わる業務あるいは商品が、シャドーバンキングの中核をなしている。中国式シャドーバンキングの発展の背景には、商業銀行が従来の預貸業務を避け、オンバランスシートの他の業務を利用し、業務のイノベーションを図り、さらに非銀行金融機関と連携して信用拡大を図るというものである。商業銀行と信託銀行、商業銀行と証券会社、商業銀行と保険会社の連携といった融資チャネル業務、買戻し条項付き売却、売掛金投資、インターバンクの譲渡性預金、インターバンクの理財商品などがシャドーバンキングの主要な柱となった。

第二に、リターンの確保はシャドーバンキングによる金融イノベーションが原動力であり、リターンの高さによってシャドーバンキングを通じた資金フローの最終的な行き先が決まる。2009年以降、不動産業、地方融資プラットフォーム及び多くの中小企業の資金調達ニーズは、シャドーバンキングを成長させる重要な原動力となっていた。2013年以降、非標準化債権への投資コストが上昇する一方、リターンが低下した。同時に、株式市場や債券市場といった標準化資産のリターンは上昇し、シャドーバンキングの重要な投資対象となった。シャドーバンキング資金の流入によって、市場流動性がさらに高まるが、レバレッジや資金回転（訳者注：実体経済に流入すべきマネーが金融システム内で循環して資産価格が上昇すること）がバブルを生み出した。

第三に、監督・規制の回避は、シャドーバンキングが発展した直接的な原因といえる。規制回避は中国式シャドーバンキングの商品イノベーションといえる。シャドーバンキングのパターンの変化は往々にして、「誕生—膨張—縮小」という過程をたどる。一般的に一つのパターンの誕生は、既存の監督・規制政策に適合しているが、その業務規模の拡大と金融リスクの増大に伴い、金融監督当局はそれを規制する政策を打ち出す。結果的に、既存のパターンは、規制を回避することができなくなってしまう。しかし、リターン追求を背景に、金融機関は異なる手法を用いて、シャドーバンキングの新たなパターンを作り出す。金融イノベーションと金融監督当局の規制策を巡る駆け引きは、中国式シャドーバンキング発展の全ての過程において常に見られる現象といえる。

シャドーバンキングの発展とともに、リスクの増加が無視できなくなる。商業銀行は往々にしてハイリスクの信用貸付資産をシャドーバンキングに移転する。そして、シャドーバンキングは、監督・規制の対象範囲外で構築したチャネルやインターバンクなどを通じて、レバレッジを高めてリターンを確保する。結果、資金が金融システムの内部でぐるぐると回転し、金融業のシステマティック・リスクが高まる。中国式シャドーバンキングは、主に商業銀行と連携し、オンバランスとオフバランスを使い分けながら、規制・監督を避けることを目的としている。そのため、シャドーバンキング内に蓄積したリスクは、商業銀行に対して、より強く伝播する。今後のシャドーバンキングにおける潜在的なリスクについて、特に以下の二点に関心を払う必要がある。

第一に、リスクを種類ごとに見れば、短期的には、監督・規制や金融政策の変化による流動性リスクの高まりが挙げられる。2013年と2016年の二回にわたる「銭荒（訳者注：市場における資金の不足）」問題の発端は、シャドーバンキングの流動性の一時停止と関係がある。中長期的には、信用リスクが集中的に発生する可能性に対して、より注目すべきだ。途中償還や暗黙の元本保証が存在するため、シャドーバンキング商品のリスクは銀行システムから完全に切り離されたわけではない。商業銀行は最終的にリスクを負う可能性がある。

第二に、銀行の規模で分類すれば中小銀行が抱えるリスクは、大型国有銀行よりも大きい。そもそも中小銀行は大型国有銀行に比べて、規模、顧客などの優位性に欠けている。また、金利自由化の衝撃を受けた中小銀行は、大型国有銀行に比べ、シャドーバンキングに踏み込む強い動機を持っている。2014年以降、中小銀行はインターバンク業務のイノベーションを主導するとともに、理財商品の発行を通じて運用資金も急速に膨らんだ。実際に、中小銀行が抱えるインターバンク理財商品や売掛金関連投資、インターバンク預金などのインターバンク資産・負債の規模は、大型国有銀行を上回っている。中小銀行のシャドーバンキングは急速な発展を遂げてきたが、不安定性を有するため、流動性の縮小や金融監督・規制政策の厳格化が進むと、中小銀行自体がダメージを受ける可能性が高くなる。さらに、そのダメージはインターバンクを通じて、銀行システム全体に伝播するかもしれない。

2017年に入って以来、「レバレッジの縮小・リスクの抑制」は、金融監督・規制の重点となり、一行三会（訳者注：中国人民銀行と中国銀行業監督管理委員会、中国証券監督管理委員会、中国保険監督管理委員会の略称）は、一連の監督・規制政策を打ち出し、シャドーバンキングの既存パターンに大きな影響を与えたといえる。全面的な監督・規制の到来は、規制逃れの余地を大いに縮小させ、膨張し過ぎた理財商品とインターバンク業務の抑制を促すだろう。また、資産管理業務のレバレッジが縮小傾向にあり、複雑な商品構造や資金回転現象も改善し、資金が実体経済へ流れるように導くことが期待される。過去のシャドーバンキングは、監督・規制が整備されていない隙を見つけ、規制逃れを行うというものであったが、イノベーション・コストが低く、模倣も可能であり、競争力に欠けていた。全面的な監督・規制到来により、シャドーバンキングの「粗放な」発展は長続きし得なくなった。将来的には、中国のシャドーバンキングは、規範化、証券化、高級化の方向に進み、不良債権の証券化、貸付資産の譲渡、債務株式化などが、発展の新たなパターンになると見込まれる。
（2017年7月発表）

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。
中国社会科学院　原文レポート]]></description>
		</item>
			
		<item>
			<title>中国社会科学院「本当に"人無貶基"（人民元が長期間大幅に下落する根拠はない）なのか？」</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20170815_012214.html</link>
			<pubDate>Tue, 15 Aug 2017 00:00:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
        2016年に「人無貶基」という言葉が流行語となった。これは「人民元が長期間に持続して大幅に下落する根拠はない」という意味である。「人無貶基」はすでに業界内の共通認識となったようである。だが、この定義は実は曖昧なものである。例えば、「長期間、持続、大幅」とはどのような定義なのだろうか？

筆者は常に三つの角度からの分析方法によって二国間の通貨の為替レートを分析している。それは、短期的には両国の金利差を、中期的には両国のインフレ率を、長期的には両国の競争力を見ていくことである。他の条件が一定という前提で、金利の上昇、インフレ率の低下、競争力の改善は、通常その国の通貨を増価させる要因となり、その反対は減価要因となる。

金利については、中国と米国の比較可能な金利差は2009年以降急速に拡大し、最大では6％ポイントを超えた。このような背景のもと、国境を越えた裁定取引が盛んになり、国外で借り入れられた米ドルが、様々な経路を通って中国国内に流入し、人民元に交換されて各種の投資が行われた。このような裁定取引は必然的に人民元の対米ドルレートの上昇圧力をもたらす。しかし、この両国の金利差は2014年から明らかに縮まり始めた。当初は中国の中央銀行が金利を引き下げたことが原因であり、その後はFRB（連邦準備制度理事会）が利上げを開始したことが原因である。金利差の縮小によって裁定取引の資金が中国から離れていくことで、人民元の対米ドルレートの下落圧力が増幅されるだろう。中国と米国は景気サイクルの異なる局面にあり、両国の金利差が継続して縮小することは今後も充分に起こり得ることである。

インフレ率については、過去10年以内のほとんどの期間、中国のインフレ率は米国より高かった。これは人民元の中国国内での実質購買力低下のスピードが、米ドルの米国国内における実質購買力低下のスピードよりも速かったことを意味している。購買力平価説から言えば、人民元の対米ドルレートが下落する圧力に直面してきたということである。今後も中国のインフレ率が米国より高い状況が続くことは大いにあり得る。（M2/GDP比率が中国は200％を超えているのに対し、米国はわずか90％であることからも考えられる。）

競争力については、投資利益率または労働生産性の伸び率を用いて、その変化を見ることができる。過去20年、中国の労働生産性の伸びは米国より高い状態にある。だが、中国と米国の労働生産性の伸び率の差は2008年のピーク（12％ポイントを超えていた）を経て以降、現在の6％ポイント前後にまで縮まっている。しかし、このことは中国と米国の競争力の差がまさに縮小していることを意味している。実際に、中国の上場企業全体のROE（自己資本利益率）は長年米国より高かったが、初めて米国を下回った。中国の労働生産性の伸びや投資利益率が低下した主な原因の一つは、人口高齢化が進んだこと、ならびに労働力が需要超過に転換してから労働コストが急速に上昇したことである。事実、「人無貶基」論争に関するカギは、今後の中米の競争力の差が引き続き縮まるのかどうかにある。もし中国政府が今後順調に構造改革を推し進め、中米の競争力の差が縮小することになれば、「人無貶基」は事実に変わる。そうでなければ、人民元の対米ドルレートの下落圧力はこれからも続くであろう。

上述の分析以外に、別の角度からも人民元の対米ドルレートが下落圧力に直面している原因を見て取ることができる。過去に中国政府は金融活動を抑制する環境を維持し、家計や企業が世界で資産を配分する能力とルートを制限してきた。金融市場の開放が進めば、中国の民間部門は強い動機を持って海外へ資産の配分を行うだろう。例えば、現在海外証券投資は中国の対外総資産の5％を占めるだけだが、米国と日本ではどちらも40％を超えている。このほか、中国経済の成長減速により、中国の金融リスクが急速に顕在化していくと、家計と企業の中国の金融資産に対する信頼が低下し、海外に資産を配分する必要性が高まる可能性がある。つまり、金融市場の規制がなくなり、金融リスクが顕在化すれば、大規模な短期資本の海外流出の継続に直面する可能性がある。

簡単に言えば、長期にわたる競争力の低下と金融リスクの増大は、人民元の対米ドルレートが下落圧力に直面する基本的要因である。これらに根本的な変化が起こらない限り、下落する状況が逆転することは難しい。
（2017年5月発表）

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。
中国社会科学院　原文レポート]]></description>
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			<title>中国社会科学院「四つの矛盾を効果的に統括し、経済の着実で持続的な発展を促進する」</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20170704_012117.html</link>
			<pubDate>Tue, 04 Jul 2017 00:00:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
        近頃、中国の経済は短期的に下げ止まり、回復し始めたが、経済の長期的かつ持続可能な発展及び経済構造と発展モデルの転換を効果的に実現させるために、経済の短期と長期の動向、政府の政策と市場メカニズム、金融部門と実体経済、及び政策効果の協調に関わる「難題」を効果的に統合し、穏健かつ有効なマクロ経済政策を実施する必要がある。

短期と長期

2016年の中国経済は全体的に適度な成長を遂げ、年後半の四半期GDP成長率が小幅に上昇し、第4四半期は前年同期比6.8％となった。全体としては下げ止まり、また小幅に改善されていく傾向を示している。2017年第1四半期も、中国経済は下げ止まり傾向を保ち、同6.9％の成長率を実現した。景気動向と先行指標を見れば、ミクロの経済主体が確実に最悪期を乗り越え、安定的に回復していることが確認できる。2017年3月まで、PMIは6ヵ月連続で51を上回った。

経済が短期的に下げ止まり、回復したのは政府の安定成長を確保する政策によるものであり、インフラ投資の牽引効果は明らかである。また、世界経済の回復とともに、経済成長に対する外需の寄与も比較的顕著になってきた。経済の短期波動を反映する在庫循環の趨勢から見れば、2016年初めが周期の最低水準にあり、2016年第2四半期から始まった在庫積み増しのプロセスが継続し、経済情勢は短周期の回復段階にあることが分かる。

短期的に回復傾向を見せているとはいえ、中国は依然として安定的な経済成長の原動力を欠いている。景気循環及びその「ネスティング」理論によると、一国の経済成長率は、短期波動が在庫循環（3～4年）の影響を受け、中期的な成長率が主に設備投資循環（8～10年の循環）の影響を受ける。この中期循環においては、新たなリーディング産業が現れてくることが一般的である。しかし、目下のところ、新たな設備投資循環の開始の兆しが容易には現れず、それに対して、インフラ投資による短期的な景気の下支えが行われている。

短期と中長期の成長率にとってより本質的なことは、短期的には経済の安定化、中長期的には経済成長率への下方シフトの圧力が、潜在成長率の変化と緊密に繋がっていることである。中国の潜在成長率は正確には測定しがたいが、様々な生産要素が十分に利用され、潜在成長率に明らかな趨勢的変動が生じている時、名目成長率を意図的に維持しようとすれば、資源配分上の不均衡を招く恐れがある。こうした状態を長く維持するほど、経済が内包するリスクが大きくなると考えられる。

市場と政府

中国経済が好転する中で、経済成長の原動力の構造に大きな変化が生じている。第一に、政府投資が民間投資の不振を補ったこと。第二に、経済成長に対する不動産市場の寄与が明らかに高まったこと。第三に、消費部門が全体的に安定する傾向を示しており、とりわけ住宅と自動車の需要増加によって経済成長に対する個人消費の寄与度が高まった。しかし、住宅と自動車の消費需要の拡大は政府の政策と緊密に関連している。

2016年から2017年第1四半期にかけての経済成長と構造変化を振り返ると、政府の政策が重要な役割を果たしたことが分かる。インフラ、不動産取引、自動車販売には、いずれも政府介入という「見える手」が影響を与えている。また、さらに遡れば、政府のコントロールによって、中国経済に3～4年間の短周期の波動が生じている。この「在庫循環」あるいは「キチンの波」は、政府の周期的な介入を受けたことの特徴を表している。

政府の政策は、経済の安定した発展の中で積極的な役割を果たしてきた。しかし、それはいくつかの副作用をもたらした。第一に、政府資産の大規模な膨張である。過去3～4年間、国有部門が全体的に拡張状態にあり、それによって政府資産の規模が拡大し続けている。特に金融部門の急速な膨張である。2016年の中国の銀行業の資産総額は、232兆元にまで増加した。第二に、政府資産の拡大が民間部門にクラウディングアウト効果をもたらしたことである。民間部門のバランスシートの拡大ペースは政府部門と比較して遅く、一部の分野では、バランスシートの縮小さえ生じた。今のところ、政府資本と民間資本の協力（PPP）及び産業投資ファンドの中で、民間部門の参入率は依然として低く、多くの国有の金融部門が社会資本として幅広く参入している。第三に、収益とリスクが日増しにアンバランスな状態になる恐れがあることである。政府または国有部門が資源配分に介入することは、ある程度、市場予測の安定化と経済成長の確保に有利ではあるが、介入しすぎると、その効用は逓減し、極端な場合、リスクが収益を上回る状況に至る可能性もある。

経済の持続可能な発展という観点から見れば、資源配分における市場の決定的な役割を発揮させることが非常に重要である。例えば、今後の経済構造の転換において、新たな設備投資循環は、政府部門ではなく、民間部門が主導権を握るべきである。しかし、中国の民間投資はまだ比較的低いレベルにあり、今後の新たなリーディング産業をまだ見通すことができないため、ミクロ的基礎をしっかりと固める必要がある。

生産量と価格は経済活動の中心的な変数であり、その変化が二つのメカニズムを生む。一つ目は需要曲線と供給曲線の相対的変化であり、二つ目は政策の相対的変化である。この二つのメカニズムの本質は、資源配分における市場の役割と政府の役割とのバランスにある。過去三回の経済成長の短期循環の中で、政策の役割が強化されていったように見える。これは需要曲線と供給曲線を移動させただけではなく、その勾配にも目立った変化をもたらし、かえって今後の政策の余地を制約してしまったのである。安定を保ちつつ経済成長を促すという目標を実現させるには、政府の介入だけでは不十分であり、市場経済の主体として、ミクロ経済の主体の地位と市場の資源配分の機能を強化し、両者を効果的に融合させなければならない。

金融と実体

過去10年、中国経済は著しく発展した。しかし、経済成長よりも急速に成長したのは金融部門である。銀行業を例に取ると、2006年から2016年まで、総資産額は、44兆元から232兆元へ5.3倍に増加したのに対し、同時期の名目GDPは3.4倍の増加にとどまった。2016年末に欧州を超え、中国銀行業の規模が世界最大となった。中国、欧州、米国及び日本の銀行業は世界トップ4として、資産規模がそれぞれ33兆ドル、31兆ドル、16兆ドル、7兆ドルに達している。中国の銀行業の資産規模は国内総生産の3.1倍であり、欧州、米国、日本のそれを遥かに上回っている。

金融部門の資産の伸び率が長期にわたり経済成長率を超えることは、「脱実向虚（実体経済から乖離して、非実体経済へと向かう）」を引き起こしかねない。例えば、債券市場の改革発展において、円滑な貯蓄から投資への転換メカニズム、または直接金融システムの構築に力を入れるべきである。しかし、現在の債券市場の構造は、銀行間取引市場、取引所市場及び商業銀行の店頭市場からなっている。この三種類の市場は、大部分の一般企業や家計には無縁の銀行、ノンバンク及び大型国有企業等を主体とするものとなっている。一方、債券市場の直接融資機能とは金融機関に主な資金を提供することではなく、家計または非金融企業の貯蓄を非金融企業部門の投資に転換させることである。債券市場のレバレッジ取引を顧みると、資金空転（実体経済に流入すべき通貨等が金融システム内で循環して資産価格が増加すること）の問題がある程度存在している。

また、銀行部門の資産負債管理を振り返ってみると、経済成長の下振れ、信用リスクの顕在化及び金利自由化のプロセスの中で、「預金業務を銀行業の基本とする」という伝統的な負債の考え方だけでは、資産配置の新たな需要を満たせず、銀行間取引や債券発行が主流となった。そのため、オーバーナイト取引の規模は2015年2月の1.34兆元から2016年8月の9.44兆元まで急増した。2016年8月以降、中国人民銀行が金融部門のレバレッジ削減に取り組み、成果を収めたが、2017年3月のオーバーナイト取引の規模は依然として6.77兆元の高いレベルにある。さらに注意すべきことは、2016年9月、中国人民銀行が銀行間取引市場の流動性を引き締める中で、銀行間預金は金融機関が負債を維持する主要な方法となり、2016年の新規銀行間預金の平均月間増加量が約1兆元に上り、2017年2月と3月にはそれぞれ1.97兆元と2.02兆元に達したことである。

金融部門と実体経済との関係が乖離する根本的な原因は、実体経済が生み出す収益率の低下、すなわち金融部門が直面している「資産収益率の低下（商業銀行の運用面から見ると、資金はあるが運用先が見つからない状態）」の問題である。実体経済の収益率の低下は経済成長率の低下と関わっており、必然のことだと言える。しかし、金融部門がまだそれに適応できず、積極的な調整を行っておらず、最終的には銀行間取引ひいてはレバレッジ取引により、資産収益率の低下とリスクプレミアムの上昇を相殺することになる。こうした資産と負債のミスマッチは、政策の引き締めに対して脆弱性を露呈しがちであり、流動性減少が銀行間取引における問題を引き起こす恐れがある。最終的に、金融機関が「資産側の不足」と「負債側の不足」の二重の圧力に直面することになる可能性も想定できる。

良好な経済のファンダメンタルズは、金融が効果的に実体経済に影響を及ぼすための基礎である経済成長のプロセスで、金融部門が供給した資本がなぜ効果的に吸収されないかについて、より一層の見直しを行うべきである。金融部門はリスク管理者であり、リスク回避者でもある。リスクを識別する時、金融機関は資本を実体経済に使うことと金融部門自身に使うことのコストとベネフィットを分析すべきである。本質的に持続可能な実体経済を構築することは、金融と実体経済との関係を調整し、実体のないバーチャルな経済から離脱し実体経済へ回帰（「脱実向虚」から「脱虚向実」へ転換）するための基礎となる。

リスク政策と政策のリスク

資源配分において、中国政府は重要な指導的役割を果たした。この政府の役割は、過去40年間の改革開放の中で、正しく堅持すべきものだと証明された。もちろん、こうした政策論理と具体的な政策手段を今後、一層完備する必要がある。現在、中国はリスクが日増しに顕在化する段階にあり、内外のリスクが共振する危険に晒される可能性が高い。そのため、リスクの防止と制御が、より重要であると位置づけられた。政策の実施には指向性、合理性及び有効性が必要とされている。すなわち、リスクの防止と制御対策の有効性及び政策そのものが引き起こしかねないリスクを検討すべきである。

例えば、過剰生産能力は、中国の経済成長の中で益々顕著になってきたリスクである。2016年以来、供給側の構造改革としての「過剰生産能力の解消、過剰在庫の消化、レバレッジの削減、コストの引き下げ、脆弱部分の補強」といった5大目標をめぐって、関連部門が過剰生産能力の解消策を打ち出し、ある程度需給不均衡を緩和させた。過剰生産能力解消のプロセスで、2016年3月末、石炭企業の稼働日数が年間276日以下に規制されたが、同年9月以降実施した石炭供給の二級緊急対応策ないし一級緊急対応策（訳者注：一級緊急対応策は動力炭の価格が500元/トンに上昇した時、一日平均50万トン増産を認めるもので、全国74炭鉱が対象。二級緊急対応策は動力炭の価格が480元/トンに上昇した時、一日平均30万トン増産を認めるもので、山西省、陝西省、山東省などの66炭鉱が対象。）によって、一部の石炭企業の作業日数が330日に増えた。

政策を実施する時、政策の適性を検討しなければならない。例えば、実施する政策が多すぎるのか、少なすぎるのか？どれが確実に実行されたか？その効果はどうか？経済の長期的かつ持続可能な発展及び効果的なリスク防止と制御には、より一層科学的かつ完全な政策決定、実施、評価体系が必要とされている。
（2017年4月発表）

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。
中国社会科学院　原文レポート]]></description>
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		<item>
			<title>中国社会科学院「中国経済の構造転換のエネルギーは世界に広がる」</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20170602_012036.html</link>
			<pubDate>Fri, 02 Jun 2017 00:00:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
        4月17日に統計局は、2017年第1四半期の中国の実質GDP成長率は6.9％と発表した。2015年第4四半期以来の高い値となり、今年の経済は好スタートを切った。国際通貨基金（IMF）も2017年4月に発表した「世界経済見通し」において、2017年の中国の経済成長率を6.6％と予測し、世界全体の経済成長率は3.5％、新興国や発展途上国の経済成長率を4.5％としている。中国経済の成長が世界経済の成長をリードする状況が続く。それは世界経済の回復を支え、中国が世界経済の成長の約3分の1に貢献しているとIMFは推定している。

加えて、中国経済の構造転換がもたらすプラスの影響も注目に値する。

中国経済は投資主導から消費主導への転換を進めており、これが消費需要のスピルオーバー効果を国外へもたらしている。2017年第1四半期の消費の伸び率は5.3％で、経済成長率に対する寄与度は77.2％と、2012年第1四半期以来の最高記録を更新した。同時に、消費者マインドはここ10年で最高の状態にある。強い内需によって輸入が大幅に増加し、2017年1月～3月の季節調整済み前年同期比の輸入伸び率はそれぞれ17.6％、11.8％、20.1％であった。中国の輸入需要は他国の輸出に対応しており、他国の重要な輸出市場として、多くの国の経済回復を支える重要な一因となっている。中国の輸入伸び率の上昇は主な貿易パートナーの国の輸出を好転させ、経済成長率の上昇をもたらしている。東アジア地域を例にすると、中国の第1四半期における韓国、インドネシア、シンガポール、ベトナムからの輸入伸び率は前年同期比で各12.8％、55.8％、54.6％、23.4％であった。これが各国の輸出を大幅に増加させた原因である。これら各国の輸出伸び率（第1四半期、前年同期比）はそれぞれ15.0％、21.0％、18.0％、16.5％であり、輸出の増加が東アジア地域の国々の景気回復を牽引している。

かつて、加工貿易への依存は中国の対外貿易の大きな特徴であり、中国と他国の貿易の一部は中国の需要に直接は対応しておらず、第三国（欧米など）の需要に対応していた。しかし、現在その状況が変化してきている。2006年の中国の輸入における加工貿易（訳者注：外国側と中国側で委託加工契約を締結する。国内販売ができない）と一般貿易（訳者注：通常の輸出入。国内販売が可能）の割合はほぼ同じで、どちらも40％前後であった。これが、2016年には一般貿易の割合が56.4％に上昇し、加工貿易は25.0%に低下した。さらに、2017年第1四半期は一般貿易の比率が59.9%へ上昇し、加工貿易は22.6%へ低下している。この変化（一般貿易の比率上昇と加工貿易の比率低下）は、中国市場の最終需要者としての影響力が急上昇していることを示している。OECD（経済開発協力機構）／WTO（世界貿易機関）が発表した付加価値貿易指標によると、現在、世界経済において中国の需要がもたらす付加価値の規模が加速的に拡大している。2001～2006年の年平均伸び率は13.5％、2007～2011年の年平均伸び率は23.5％に上昇した。これらのデータは、中国経済の構造転換および国内需要の増加が貿易ルートを通じて直接的に他国へポジティブな影響を与えていることを示している。

中国経済の構造転換がもたらすスピルオーバー効果は多方面で注目されている。IMFは2016年10月に発表した「世界経済見通し」で一章分の紙面を使って中国経済の構造転換による効果について論じている。その中では、中国経済の安定した構造転換による長期見通しについては楽観し、短期的には中国がバリューチェーンの先端へ移ることで、多くの国に新しいチャンスがもたらされ、二国間や地域レベルでの協力が実体経済にポジティブなスピルオーバー効果を与えると積極的に支持している。正にこれはグローバル化に逆行する潮流が沸き立つ中で、中国が大いに推進している主張であり、2017年5月に開催される「一帯一路（シルクロード経済圏構想）」首脳会議がその例証となる。

世界経済に回復の兆しが見えている中、中国経済の構造転換による需要拡大というエネルギーは世界に放出され、多くのルートを通じて生じるスピルオーバー効果はポジティブな影響を与えている。中国にとって、スピルオーバーの波及を受動的に受け止める立場から、自身が外部へ効果を産み出す立場への、非常に顕著な変化である。最大の新興経済国として、中国は他の新興国と明らかに異なる特徴を有している。中国以外の新興経済国と先進国は経済成長の変動において依然高い連関を保っており、新興国は先進国の経済変動に対して脆弱である。しかし中国と先進国との経済成長のサイクルは、かなり関係が切り離されている。一方で、他の新興経済国の成長動向と中国とは金融危機の後にその関連が強まり、新興経済国の中国への依存度が高くなっている。成長レベルが比較的高く、成長率の変動が比較的小さい中国は、新興経済国にとっては先進国以外の成長の牽引者としての新たな選択肢となっている。

これは、中国の積極的な開放促進が、世界経済にさらに多くのプラスのエネルギーを放出することにつながる。それは、中国が世界経済の政策の調整に深く関与し、国際経済のガバナンスの整備に寄与し、ひいては世界経済の長期的発展を促進していくための新たな好機を提供することを意味している。
（2017年4月発表）

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。
中国社会科学院　原文レポート]]></description>
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		<item>
			<title>中国社会科学院「中国不動産市場の三つの未来像」</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20170426_011935.html</link>
			<pubDate>Wed, 26 Apr 2017 00:00:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
        中国の不動産市場が過熱状態にあるのは周知の通りである。そのような背景により、新たな調整政策が次々と打ち出されるようになっている。しかし、目下の市場の過熱状態がどのような形で収まるかについて、様々な見方がある。通常なら、住宅価格対所得比は、不動産市場にバブルが存在するか否かを評価する一般的な指標とされている。当面の不動産価格対所得比の状態を踏まえれば、良性のバブル、脆いバブル、頑健なバブルという中国不動産市場の三つの未来像を予測できると考えられる。

良性のバブル
全てのバブルが弾けるというわけではない。幸運に恵まれると、バブルが危なげなく解消されることもある。1973年までの十数年間、結婚適齢人口の持続的増加、金融緩和政策によって日本の不動産市場はバブル期を迎えていた。しかし、それ以降の状況から見ると、当時のバブルはやがて無事に解消されていったともいえる。
1973年の不動産バブル最盛期において、日本全国の名目不動産価格は1960年の10倍近くまで上昇し、不動産価格対所得比も1960年の1.5倍となった。さらに、不動産価格対所得比は、1990年の土地バブルのピークを17％ポイントも上回っていたのである。
にもかかわらず、1974年から、日本の不動産バブルは、マジックにかけられたように、徐々に解消されていった。1973年から1978年まで、日本の不動産価格はそれまでと同様、23％上昇する一方、不動産価格対所得比は33％ポイント低下した。言い換えると、名目不動産価格は依然として上昇していたが、所得と比べてみれば不動産価格の伸び率は相対的に低く、一方、同時期の国民所得が大幅に増加し、そのため、不動産バブルを解消できるようになったわけである。
いったい、日本政府はどのような対策を講じていたのだろうか。インフレ率の上昇に対応するため、日本銀行は通貨供給を抑える金融政策を打ち出し、公定歩合を1972年6月の4.25％から1973年12月の9％まで連続して引き上げるとともに、信用貸付規模を縮小させ続けた。また、不動産市場の混乱を鎮め、法人による短期保有不動産の譲渡や投機的売却に対して重税を課すことにした。また、日本の人口構造は、1980年代の後半になって初めて高齢化段階に入ったが、1970年代にはまだ人口ボーナス期にあった。さらに、税制の整備、社会保障制度の構築・整備を通じて、貧富の格差が拡大しないように調整した。それにより、国民の所得水準が大いに向上し、不動産価格対所得比も改善する方向に向かうようになった。
1970年代の日本を基準とすれば、中国の住宅不動産市場のバブルを無事に解消することは、なお困難な局面にあると考えられる。理由は以下の通りである。その一、目下、中国の金融政策が抱えている最重要課題はインフレではなく、実体経済の悪化および債務デフレというリスクにある。そのため、景気サイクルを安定化させ、資産バブルを解消することにおいて、金融政策は厳しい状況に迫られている。その二、私有地の取引をめぐる不正問題の解決は、日本政府にとっては相対的に難しくはなかったようだが、中国にとっては、土地政策と地方政府のレバレッジ比率、中央と地方の財政体制といった複雑な問題が絡んでいるため、コントロールするのはさらに難しいと予想される。その三、現在、中国はすでに人口高齢化社会に入っており、経済成長の速度も低下していくと見込まれる。その四、貧富の格差を是正し、不動産市場における需要と供給のバランスを維持することに課題があるものの、これについて中国にはまだ政策調整の余地が存在する。これら四つのうち、前の三つは、全て中国政府にとって政策で解決する難易度が高くなっている。

脆いバブル
不動産バブルが持続可能でなくなり、弾けてしまう局面をさす。これは悲観すべき状況（ただし最悪な状況ではない）であり、現在、社会が最も懸念している状況でもある。不動産バブルの崩壊は、実体経済の成長率の失速を引き起こすだけでなく、資産価格の下落や銀行不良債権率のさらなる上昇をもたらし、資本の海外流出と為替相場の下落などの圧力にもつながると考えられるからである。1980年代末から1990年代初めにかけての日本の不動産バブル崩壊がまさにそれにあたる。
市場の「力」を信じている人は、往々にしてバブルの早期崩壊を予想している。つまり、市場の調整機能により、各分野の価格は再び合理的なものとなる。また、資源の再配置により、資源が低効率の企業から高効率の企業へと移動することとなる。それが、経済が再び正常な成長軌道に戻る理由となる。
しかし、現在の中国政府と企業との明確ではない関係、国有企業改革の停滞、システマティック・リスクへの予防策の不備といった状況の下で、脆いバブルがいったん弾ければ、最大の悪影響を受けるのは、ゾンビ企業でも、大手企業、国有企業でもなく、活力にあふれる多くの民間企業、とりわけ中小企業であると考えられる。
したがって、脆いバブルが発生する場合、まず市場の競争メカニズムを整え、激しい市場競争にさらされる競争主体に平等で前向きな淘汰メカニズムを整備しなければならない。日本経済は1980年代末のバブル崩壊後、長期低迷に陥ったが、その要因の一つは、救済メカニズムが逆に淘汰のメカニズムを阻害したからであると考えられる。最も活力のある中小企業が淘汰されたのに対し、倒産には至らないまでも活力を失った一部の大手企業は、政府の庇護の下で生き延びたのである。

頑健なバブル
住宅価格に影響する各要素についていえば、短期では金融、長期では人口、中期では政策介入が挙げられる。中国の住宅不動産市場に何か特別な特徴があるかと聞かれれば、中期的な政策介入と答えることができる。例えば、土地供給に対する地方政府のコントロール、強力な資本規制、不動産税の徴収猶予、裁量的政策の自由度の大きさなどが挙げられる。
土地供給に対する地方政府のコントロールについては、香港を参考にすることができる。今まで香港で実際に開発された土地は、香港の面積全体の1/3にも達していない。土地供給の制限によって、香港の住宅価格対所得比が持続的に高止まりする状態を保っているほか、産業の空洞化、社会階層の固定化、社会分化などの問題を招いてしまった。
それに対し、大陸の地方政府は、土地供給を直接コントロールできるだけでなく、資本規制と不動産税の徴収猶予といった政策ツールを利用できる。資本規制により、大陸の住民の投資対象は主に国内に限られている。預金利息が相対的に低く、株式市場が大きく変動する状況を踏まえると、必然的に大量の資本が不動産市場に流入する。また、不動産税に徴収猶予があり、また相続税が存在しないことを考えれば、不動産は希少性を有するばかりでなく、資産価値の保持と利益獲得という特徴を備えていると考えられる。
したがって、大陸の政府が有する政策は、世界のほかのどの国よりも手段が多く、しかも効果的であり、さらに、どこよりもこの「頑健なバブル」が弾けないように長期間維持できる能力を持っている。
「頑健なバブル」を維持できる可能性は存在する。とは言え、コストを払わずに済むわけではない。資本規制、不動産税の徴収猶予などの要素は、土地供給に対する地方政府の調整効果を強化させてしまう。一方、長期にわたり高騰する住宅価格は、人材や企業投資を門前払いして、都市と国の競争力を弱めてしまう。調整効果が強いほど、産業の空洞化、社会階層の固定化、社会分化といった「香港化」する特徴を帯びてしまう恐れがある。

難しい選択
前述したように、良性バブルの実現は最も困難である。そのため、可能な選択肢は、脆いバブルと頑健なバブルのどちらかとなる。
脆いバブルは、短期的不安定性と大きな変動を招きかねないが、それにより、市場価格が再構築され、さらに新たな合理的水準に戻ることとなり、経済全体の長期的な競争力も再構築できるようになる。しかし、脆いバブルを発生させる前に、まず市場の競争メカニズムを調整し、激しい市場競争にさらされる経済主体に対し、平等で前向きな淘汰メカニズムを整備しなければならない。その際、特に活力を失った企業を延命させる逆方向の淘汰メカニズムを避けるべきだ。頑健なバブルは、短期及び中期では社会と経済の安定を維持できるが、中長期的に見ると、都市と経済の競争力をさらに弱めていくだろう。
中国の政策は、まさに上述した二つの選択肢の中から一つを選ばざるを得ない。とは言え、わかりきったことだが、いくら頑健なバブルであっても、所詮バブルにすぎないのである。
（2016年10月発表）

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。
中国社会科学院　原文レポート]]></description>
		</item>
			
		<item>
			<title>中国社会科学院「人民元レートの一時的調整の利益とリスク」</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20170303_011780.html</link>
			<pubDate>Fri, 03 Mar 2017 00:00:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
        2015年8月11日に人民元の為替制度改革が発表された後、中国の外国為替市場は一時的に大規模な資本流出と大きな下落予想に直面した。2015年8月から12月まで、中国の外貨準備高は、毎月800億ドル近く減少していた。このペースで減少していくと、4兆ドルという巨額の外貨準備高を有していても、徐々に底を突く恐れがある。それを受け、金融市場は外貨準備を使って人民元レートの安定を図る中国人民銀行の能力を疑い始めていた。外貨準備の減少と人民元の下落が悪循環に陥ってしまうのではないかということだ。つまり、外貨準備の減少幅が大きければ大きいほど、人民元相場を安定化させる中央銀行の能力に対する市場の懸念は大きくなり、人民元の下落予想が強まるのである。

2016年の年初、人民銀行は「前日終値+通貨バスケット調整」という新たな人民元対ドルレートの中間値形成メカニズムを打ち出し、人民元対ドルレートの下落を緩やかなペースにコントロールしようとしていた。この新たな為替相場形成メカニズムは、大幅下落の恐れを取り払い、人民元の下落予想の圧力後退につながっていた。人民銀行によれば、「ドルレートの実勢動向には不確定要素があるため、通貨バスケットを参考にすれば、人民元対ドルレートは上下双方向への変動を示すことになり、マーケットの単一方向への予想を打ち破り、投機活動を抑制することができる」という。この新たな為替相場形成メカニズムは、マーケットの透明度と事後検証の可能性を高め、大幅下落の予想を後退させることにもつながっている。

しかし、外貨準備の減少と人民元の下落予想の悪循環は、断ち切られたのではなく、ただ解決が先送りされたのである。2016年の外貨準備の減少幅が3,000億ドルに近づくとともに、オフショア市場の1年物人民元先物は、約4％下落した。人民銀行のこの対応策は、人民元の上昇予想が強かった時の対応策とほぼ同じ発想によるものであり、即ち「時間をもって空間を取り戻す」ということである。具体的には、厳しい資本規制、人民元対ドルレートの中間値と外貨準備のコントロールを通じて、為替市場に介入し、人民元レートの下落ペースを抑えようとしていた。しかしその結果、直物市場ではドル上昇による衝撃を受け止めることができなくなり、人民元レートの下落圧力は、オフショアの先物市場に移転され、下落予想をさらに強めさせることになった。また、人民元の下落予想が米国の利上げの影響と結びつくことで、新たな悪循環を招いてしまう。

人民元の下落を予想する貿易業者と投機家はドル買いを行い、そうした簡単な方法により、外貨準備の減少を傍観しながら、人民元下落がもたらす利益を手に入れることができる。さらに人民銀行が最終的に為替相場の安定化を諦めるならば、より大きな利益を獲得することができるだろう。

人民銀行は、対応策を打ち出しながらも動きを相対的に抑え、ドル上昇サイクルが終わり、人民元下落の圧力が早く解消されることを期待している。市場介入によって、人民元相場は基本的に安定を取り戻し、コントロールできなくなるリスクを避けることに一定の成果を上げたが、その代償として、通貨政策の独立性を失い、資本規制は強化され、しかも最終的に人民元相場を守れるかどうかは未知数である。

この「戦い」で、主導権は一貫して貿易業者と投機家の手に握られている。そのため人民銀行は、為替相場に手足を縛られ優位性を発揮し難いと考えられる。

問題は、人民銀行が人民元レートの一次的な下落後に自由な変動を許容するかどうかにあると考えられる。さらに人民元レートの下落がいかなるコントロールし難いリスクをもたらすかにも関わっていると言えよう。

この問題に答えるには、マクロ的視点、外国為替リスクヘッジ、海外の政治的圧力といった三つの面から考えなければならない。

マクロ的視点から見ると、為替相場の合理的水準は、経済のファンダメンタルズが決定すると考えられる。例えば、人口動態、内外の相対的な生産性、交易条件などの基本的な要素は、最終的に経常収支に反映されることになる。中国の経常収支黒字の対GDP比は、世界金融危機により縮小した後、2010年から安定を回復し、その後2.5％程度で推移している。過去5年間のデータから見ると、中国の経常収支黒字対GDP比の平均値は約2.4％であり、2016年の1-3月から7-9月期にかけての平均値は約2％である。少なくとも経常収支から見ると、人民元相場は、持続的に下落するような状況に陥ることはないと考えられる。

一方、外国為替のリスクヘッジの観点から見ると、人民元相場には大幅な変動が生じる可能があると考えられる。過去6年間、中国の通貨供給量の増加スピードは非常に速く、広義のマネーストック（M2）は平均すると13％の増加率を保ち、残高はすでに20兆ドル超に達している。中国の外国為替市場には「実需原則」が存在するため、一部の資産はリスクヘッジの機能に欠けている。そのため、人民銀行の為替相場安定策に頼り、為替リスクの回避を図るしかないのである。人民銀行がインフレ率の安定を同時に保つことができれば、一般市民の預金の動向が外国為替市場に影響を与える圧力は低下することになるだろう。

しかし、人民銀行が人民元レートを下落させた上で、人民元の自由な変動を許容するのであれば、それはとりもなおさず、一般市民にとってはリスクヘッジの機能を果たさないことになる。となると、一般市民が保有する資産価値に大きな変動が生じ、一部の資金が「実需」に偽装して外国為替市場でリスクヘッジを狙い、結局、人民元レートはコントロール不能なほどに暴落してしまう可能性がある。

したがって、人民銀行が人民元レートの一次的な下落を許し、それを機に変動自由化に移行させた後、人民元レートには、一定期間の乱高下が生じることになるだろう。しかも、その下落は一回限りに止まらず、長期的に見れば、段階的に人民元は下落していくだろう。しかし、ドルのロングポジションに集中され過ぎると、一部の「賢明な投資家」はむしろ人民元買いを試みるに違いない。その場合、人民元レートは必ず回復するはずだ。その時になれば、人民元レートは本当の意味で上下双方向に変動するようになり、人民銀行も多面的に為替市場の構築に取り組み、多様化する為替市場の金融商品を提供することになるだろう。

最後に、海外の政治的圧力から見ると、中国は世界最大の貿易国であり、人民元が大幅に下落することになれば、必ず世界に激震をもたらし、世界的論争を巻き起こすに違いない。とは言っても、今回の下落には「まともな原因」がきちんとある。為替制度改革は為替市場の自由化の方向に沿って、国際収支の為替レートによる自動調節機能を十分に活かすために行われたものである。米国財務省とIMFが人民元下落に不満を抱いたとしても、非難のしようもない。一方、トランプ次期大統領は（訳者注：当コラムの公表日は2017年1月17日）、中国を為替操作国と見なすと表明したが、もし、人民銀行が為替市場に頻繁に介入しなくなれば、為替操作という言い方は成立しなくなる。したがってトランプ政権発足前の今、為替市場に対する介入をやめ、人民元相場を自由に変動させるかどうかが重要なポイントだと言えよう。

マクロ的視点と海外の政治的圧力から分析してみると、人民元レートの変動は、中国の国内市場にコントロールが困難なほどの衝撃を与えることはないと考えられる。最大のリスクは国内の市場参加者の為替リスクヘッジのための行動である。実際のところ、これはドルに連動しないすべての通貨が払うべき代償であり、通貨をコントロールできなくなる要因でもある。ドルと連動しない他国の通貨とは異なり、人民銀行は直ちに人民元とドルとの連動をやめるのではなく、そのペースをすでに一年間以上にわたり維持している。つまるところ、為替リスクヘッジの機能を強化させるべく、中国の企業と個人は一年間以上の準備期間を与えられていることになる。それに、中国では厳しい資本規制があるため、為替相場の変動をある程度抑えることができる。

しかし、どの時点で為替相場の変動自由化を実施することがリスクを最も小さくするかについては、まだ結論が出ていないのである。にもかかわらず、2005年に為替制度改革が実施されて以来、人民元は対ドルで2013年までずっと上昇しており、有効な金融派生商品の市場を立ち上げるのは難しい状況にあった。本来なら、対ドルで人民元には、上昇と下落の二つの可能性がある。それは、為替市場が健全に成長する基礎である。人民元とドルの為替相場に、もし一方向への予想が持続的に存在すれば、それを基に派生商品はさらにその単一方向への予想を強めさせ、人民元レートの下落あるいは上昇予想をさらに増幅させる恐れがある。しかし、人民元レートの変動自由化を解禁しなければ、外国為替市場を発展させることもできなくなり、一般市民の為替リスクヘッジのニーズを満たすことはできない。為替相場の柔軟性は為替市場発展の基礎である。外貨準備がなくなり、コントロールできないような状況に晒されてから為替相場の変動を自由化するより、むしろ3兆ドルの外貨準備を持つ今、為替相場を自由化すれば、挽回の余地がまだある。

総じていえば、この外貨準備消耗戦では、保有する外貨準備をできるだけ維持し、為替レートを自由に変動させるべきである。このようなやり方は確かにリスクを伴うが、最善の選択である。人民銀行には、2015年の「811為替制度改革」の方針に沿った、しっかりした対応策を基礎にした為替制度改革の早期完成を目指してほしい。
（2017年1月発表）

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。
中国社会科学院　原文レポート]]></description>
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		<item>
			<title>中国社会科学院「保護主義が世界貿易の回復を阻む」</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20170117_011595.html</link>
			<pubDate>Tue, 17 Jan 2017 00:00:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
        2008年の世界金融危機以降、世界貿易は低迷状態から抜け出せずにいる。とりわけ2012年から世界貿易（財輸出量）の伸びは世界経済成長率を下回る状態が続いている。たとえ経済成長率がすでに危機以前の水準に回復しているとしても、世界貿易の好転は難しいだろう。2016年9月末、世界貿易機関（WTO）は2016年の世界貿易の予想成長率を2.8％から1.7％に下方修正し、2016年は金融危機以来、世界貿易の伸びが最も低い年になると指摘している。さて、世界貿易の回復を阻むものは何であろうか。

通常考えられるマクロ経済的要素は貿易回復の障害にはなり得ない。マクロ経済における価格要因は、価格下落による名目の貿易額の伸びに対する影響を指す。2011年以来、コモディティ価格は下がり続け、貿易額はマイナスの影響を受けている。ここ２年間、ドル実効レートは全体的に上昇傾向にあり、米ドル建ての貿易額にも影響を与えている。だが、価格は名目の貿易額に影響するだけで、実質の貿易量には影響を与えないはずであり、現在、貿易量は低迷している。また、需要要因は経済成長率の低下が招く需要減少が貿易量の低下を引き起こすことを指す。だが、ここ数年の経済成長率はゆっくりと回復しており、2015年の経済成長率もすでに3.1％に達している。国際通貨基金（IMF）の世界経済見通し（World Economic Outlook）では、2016年、2017年の経済成長率は3％以上になると予測されている。しかし、それと同時に貿易量は十分な回復の見通しが立っていない。それは、需要要因が貿易低迷をもたらす主因ではないことを裏付けるものと考えられる。その一方、経済成長率と貿易量の伸びはいずれも内生変数であり、外部要因に影響されても、互いが影響するかはわからない。さらに、グローバルな観点から分析してみると、中国経済の成長率低下が世界貿易の足を引っ張っているという考え方にはあまり根拠がない。なぜなら、中国経済は世界経済を構成する一部分に過ぎず、外生変数に属していないからである。

他にも世界貿易の回復を阻害する要因が存在するものの、それらを改善することはなかなか難しい。2009年の貿易が大幅に減少したことをアカデミックな世界では「貿易大崩壊」（the great trade collapse）というが、現在でもその影響は完全には消えていない。この貿易大崩壊の際、財貿易の減少率はサービス貿易の減少率を上回り、さらに財貿易における耐久消費財の減少率は非耐久消費財のそれを上回った。そのため、世界貿易における財とさらにその中の耐久消費財の割合がともに低下したのである。財貿易と耐久消費財貿易の所得弾力性がサービス貿易や非耐久消費財に比べて高いため、世界経済の成長が加速しない限り、貿易量に対する牽引力は弱まっていくことになる。つまり、貿易大崩壊以降の需要関数には構造変化が生じており、しかもその変化を修正することはかなり難しく、長期にわたって徐々に改善していくほかない。その一方、グローバル・バリューチェーンが金融危機でダメージを受けたことは、危機以降の世界貿易低迷のもう一つの要因である。グローバル・バリューチェーンの拡大により、同じ経済成長スピードの下でも貿易拡大効果が強まってきた。世界金融危機によるグローバル・バリューチェーンへの打撃は、貿易量の伸びが経済成長率を下回っている重要な原因である。しかし、バリューチェーンの回復は容易ではなく、経済の安定的で持続的な回復を経て初めて改善することができる。以上を踏まえると、上述した要因が貿易低迷を招いているものの、長期にわたる経済回復のプロセスを経て改善されるほかはなく、短期間に人為的に改善することは難しいだろう。

また保護貿易は、貿易量の回復を阻害する最も重要な要因である。現在、世界貿易量の伸びが世界経済の成長率を下回っており、その結果、世界の貿易総額の対 GDP比は持続的に下がっている。さまざまな国際貿易理論は、貿易総額の対GDP比が外部要因に影響されており、そのうち、最も重要なものが貿易コストだと分析している。貿易コストの上昇は、貿易総額の対GDP比の下降につながる。貿易の持続的低迷は、ここ数年の貿易コストの上昇によるものである。貿易コストは、関税障壁と非関税障壁を含んでいる。WTOの関連規定のもとで、関税障壁はこれ以上増えることがないかも知れないが、非関税障壁は増える恐れがあり、さまざまな保護貿易措置が増える可能性がある。つまり、保護貿易は世界貿易の回復を妨げる最も大きな障害である。

これまでの経験を振り返ると、金融危機発生後、世界各国は往々にして隣国に対して関税障壁を強めるような貿易政策を実施し、多くの保護貿易手段を講じていた。貿易を保護する手段は種々様々であり、従来のアンチダンピング、特殊貿易措置のほか、衛生及び植物検疫措置、技術的貿易障壁などが挙げられる。WTOの統計によると、金融危機以降の各種保護貿易政策は確かに増加傾向にある。英国の経済政策研究センターが発表した「世界貿易モニタリング報告書」によると、2015年に世界全体で行われた保護貿易措置の数は前年比50％も増えたという。国別では、米国は保護貿易政策を最も多く実施している国である。2008年から2016年まで、米国は他国に対して、600余りの保護貿易措置を行っており、平均して4日毎に一つの保護貿易政策が打ち出されているという。それに対して、中国は、世界の保護貿易政策によるダメージを最も多く受けている国であり、金融危機以来の累計はすでに600件余りとなっている。

保護貿易は相手国に損害を与える上に、自国にも損害を与えてしまう、未来志向ではない政策である。世界経済ガバナンスのプラット・フォームも現在、保護貿易に反対するよう力を入れている。2016年7月9日-10日まで、上海で開かれた主要20カ国・地域（G20）貿易閣僚会議は、G20史上初の貿易閣僚声明を発表し、保護貿易に断じて反対すると表明した。しかし、保護貿易に反対する声が大きいにもかかわらず、実際に保護貿易措置を取る機運は弱まる気配がない。とりわけ英国のEU離脱や米国の大統領選挙でのトランプ氏当選によって現れた「アンチ・グローバリズム」の動向を懸念せざるを得ない。トランプ氏が次期大統領として選ばれたときに表した保護貿易主義を掲げる意向は、米国の将来の貿易政策に幾多の不確定要素を加えると考えられる。

保護貿易に反対する声は確かに強いが、拘束力がないというのも現実であり、とりわけ米国のような国に対してはそうである。そのため、保護貿易に最も影響される中国は、世界貿易戦争の悲劇を避けるため、経済グローバル化の旗を掲げ、拘束力のある保護貿易反対の協定、あるいは宣言が打ち出されるように、けん引する役割を果たすことが考えられる。もし中国が「保護貿易反対協定」の交渉を提案すれば、この協定は、貿易分野において中国が初めて提案し、主導するものとなり、今後、世界貿易のガバナンスに参加し、主導するための基礎を作り、豊富な経験を積むことになるだろう。

「保護貿易反対協定」に関する交渉は、トランプ政権発足後の保護貿易主義を抑制することに資すると考えられる。一般的には、米国大統領選挙時、候補者が票を獲得するために貿易自由化に反対する意向を表明することがあるが、グローバル化に反対するトランプ氏の声は従来のどの候補者よりも大きかった。そのため、大統領に就任したトランプ氏が保護貿易主義を掲げる可能性は非常に大きく、とりわけ就任からの2年間はそうであろう。幸いにして、米国国内では、政治界にしても学術界にしても、トランプ氏の行動に疑問や懸念を抱いており、保護貿易政策の実施を支持しないようである。「保護貿易反対協定」に関する交渉は、これらの政治界や学術界の有識者からの支持を得て、米国が交渉に参加することを促す力となるだろう。たとえ米国が交渉に参加しなくても、トランプ氏の行動をある程度抑えるだろう。

最も重要なことは、「保護貿易反対協定」の締結により、世界貿易の回復にとっての最大の障害である保護貿易を徹底的に打ち破り、世界経済と世界貿易に利益をもたらすことである。1930年代の世界不況期に米国が保護貿易主義に傾き、世界経済の回復を妨げた。政治的にはファシズムが台頭し、結局第二次世界大戦の悲劇を引き起こしたのである。戦後、米国は教訓を汲み取り、経済のグローバル化と貿易の自由化をリードし、世界経済と貿易のルール作りの主導者となった。現在、世界は再び保護貿易と経済グローバル化の岐路に直面しているにもかかわらず、米国は逆行する姿勢を示している。成長する新興国として、中国は経済のグローバル化をリードし、より開放的な世界を造る役割を果たしていくことが可能なのである。
（2016年11月発表）

 

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。
中国社会科学院　原文レポート]]></description>
		</item>
			
		<item>
			<title>中国社会科学院「改革と転換の背景における経済の『新常態』」</title>
			<link>https://www.dir.co.jp/report/research/economics/china/cass/20161130_011444.html</link>
			<pubDate>Wed, 30 Nov 2016 00:00:00 +0900</pubDate>
			<description><![CDATA[
        中国経済が過去数十年のスピード成長によって目を見張るような「奇跡」を起こしたのは、「メイドインチャイナ」の世界的流行とインフラ及び不動産投資が「中国式成長」の主要な力となったからである。だが、2008年に発生した世界金融危機は海外の需要と中国の輸出にブレーキをかけ、さらに中国国内では産業と経済構造の転換のプレッシャーが日増しに大きくなり、中国経済において改革と転換を背景として一連の「新常態（ニューノーマル）」が現れてきた。

経済成長における新常態とは、高成長から中成長への調整を指す。成長率のギアチェンジは内外の要因が作用した結果である。内部要因とは、中国の労働力の比較優位が次第に弱まる中でも、要素費用は引き続き増加し、製造業はローエンドからハイエンドへの転換を迫られていることである。人口の高齢化や労働力人口の減少も人口ボーナスを少しずつ小さくしている。外部要因は、世界経済に新たな成長の原動力が乏しく、海外需要が振るわないことである。同時に、金融危機後の世界経済は不均衡な成長から再び均衡のとれた方向という構造改革に向かい、中国が以前のような対外貿易に依存した成長モデルを続けることは難しくなっている。別の面では、数十年の高成長を経て、中国はすでに世界第2位の経済大国となったが、その巨大な経済規模自体によって高成長を維持し続ける難度が高まっていることである。

経済構造における新常態には、消費、投資、純輸出による需要要因の構造変化と、農業、工業、サービス業の産出要因の構造変化が含まれる。新常態下の構造は、消費の影響が大きくなっているが、その原因は所得水準が上昇し続けているからである。また、投資は依然として成長の重要な原動力であるが、そのウエイトは小さくなっている。インフラ投資と不動産投資における成長余地が縮小しており、製造業の構造転換も投資による成長にとって不利に働いている。そして、純輸出が経済成長に与える寄与は次第に小さくなっており、輸出は世界経済の成長減速と高付加価値化に向けた転換に直面している。

産業構造の転換によるグレードアップと新常態への変化の傾向は、「メイドインチャイナ（訳者注：従来の製造業）」から「スマート製造業」すなわちハイエンド製造業への転換であり、加えて工業大国からサービス業強国への転換である。伝統的な労働力を強みとした「メイドインチャイナ」は徐々に市場から退き、労働力の優位は明らかに他国へ移っている。中国製造業の今後の優位はハイエンド製造業と産業バリューチェーンにおけるハイエンドの製造部分となる。中国政府はすでに「中国製造2025」戦略を打ち出し、ハイエンド製造業の発展のための方向性と要請を示しており、「三歩走」（訳者注：10年ごとに3段階の発展）を通して製造強国となる戦略目標を実行し、中国の製造業の質とレベルを全面的に向上させようとしている。

対外貿易における新常態は、主に貿易の伸び率の低下と構造の変化に表れている。構造の変化は主に、ローエンドの加工貿易と労働力優位の「メイドインチャイナ」の競争力低下に見て取れる。貿易の伸び率は、金融危機後2010年にある程度反発したものの、それ以降輸出入の伸びは年々低下し、2015年には輸出入ともにマイナス成長という局面が出現している。対外貿易の新常態の二つ目は、貿易構造のグレードアップ、つまりハイエンド製造業とバリューチェーンのハイエンド化への移行である。労働集約型の産業は東南アジアやインドなど、労働コストがさらに低い国へ移る一方、中国の製造業はハイエンド製品へ移行し、輸出ではさらに高付加価値で資本と技術が必要な製品へ転換している。

人口構造における新常態は、主に労働人口の割合が減少していることと人口の高齢化によって、人口ボーナスが次第に失われていることに表れている。人口構造の新常態は労働力の供給と価格に影響し、経済成長に不利となっている。メカニズムに影響するのは次の三つである。一つは労働コストの上昇であり、中国の労働コストの比較優位は徐々に損なわれている。二つ目は貯蓄率の低下である。貯蓄率と経済成長は正の相関関係が存在しており、貯蓄率の低下は中国経済の成長スピードが下降していることを意味している。三つ目は人口の転換点は往々にして住宅価格の転換点と関連しており、人口の減少は不動産需要の低下につながる。米国の労働人口比率は2006年にピークに達し、2007年に住宅価格が下がり始めた。日本の労働人口比率は1992年にピークを迎え、不動産バブルは1991年にはすでにはじけ始めていた。中国の都市化率は先進国よりはるかに低く、このことは不動産の発展を支えているはずである。しかしながら、人口の転換点は不動産市場の輝きを持続させることが難しいことを示している。もちろん、人口構造の変化はゆっくりとした過程であり、経済成長に対して急激なショックは起こらないはずであるが、その影響の流れを変えることはできない。

中国不動産市場の過去十数年の発展の歴史には大変な勢いがあり、「中国の成長の奇跡」の中でも最も感動的なストーリーである。全投資における不動産投資の割合は一貫して伸びており、「中国式成長」の重要な特徴の一つとなっている。ただ、今後の不動産市場が持続して発展していくことは難しいと予想される。原因の一つ目は、人口構造の変化が不動産ニーズの伸びに不利であること。二つ目は、中国の不動産には過度の開発と発展という状況がすでに存在し、二線、三線都市（訳者注：二線都市は福州、済南、南昌、温州など。三線都市は蘭州、紹興、保定など。ただし、年度や資料によって分類は一定していない。）の在庫率は比較的高く、既存の在庫を消化するには時間がかかること。三つ目は、中国の不動産市場はすでに一定の過熱状態が存在し、今後拡大を継続しながら発展することは難しくなっていることである。

中国は現在、開放型の経済新体制の構築を目指し、対外開放の新しい枠組みを打ち立てている。改革と開放を全面的に深化させることは「第13次5ヵ年計画」期間の重要な政策と方向性である。対外開放の新しい枠組みは中国経済の一つの新常態となるが、その担い手の主なものに、「一帯一路」国家戦略と自由貿易区戦略がある。

「一帯一路」戦略とは「シルクロード経済ベルト」と「21世紀海のシルクロード経済ベルト」を指し、中国と関係国による現有の二国間や多国間の枠組みをよりどころに、地域連携の新しいプラットフォームを建設していくものである。アジアインフラ投資銀行の設立は、「一帯一路」の構築に資金調達面でのサポートを提供するものである。また、中国の自由貿易区戦略とは、海外との地域一体化建設と国内の自由貿易試験区の建設を含んでいる。対外自由貿易区戦略では、中国はすでに、アセアン加盟国、チリ、スイス、ニュージーランド、韓国、オーストラリアなど22の国や地域と14の自由貿易協定を結んでおり、現在、東アジア地域包括的経済連携（RCEP）や日中韓自由貿易協定などの交渉を行っている。自由貿易試験区は中国が国内の改革と開放をさらに深化させる新戦略であり、貿易、投資、金融の開放を先行実施し、制度の深化と政府の権限委譲を模索していく。

一方で、数十年にわたるスピード成長とローエンド製造業の発展は大気汚染と環境の悪化をもたらした。中国の「スモッグ」はすでに日常生活の難題となっている。これからの中国経済の発展はエコロジーと環境保護を重視しなければならず、環境に配慮することも今後の中国経済発展の中の新常態となるであろう。
（2016年8月発表）

※掲載レポートは中国語原本レポートの和訳です。
中国社会科学院　原文レポート]]></description>
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