近年、中国におけるインターネット金融サービスの発展には目を見張るものがある。中国国内では既に決済(例: アリババ・グループが運営する電子決済システムである「支付宝」)、融資(例: P2P融資である「人人貸」)、資産運用(例: アリババ・グループの「支付宝」におけるファンド投資サービスである「余額宝」)といった三種類のインターネット金融のモデルが出現している。最近では百度と華夏基金が提携した百発基金が市場で高く注目されている。その理由はまず、提供される商品の期待収益率が年率8%と高いこと、即時売却が可能であること、商品販売者である百度が高い集客力を持っていること、である。発売当日には10億元分の商品が一瞬で完売し、それによってウェブサイトがダウンする事態まで引き起こした。
確かにインターネット金融の発展は世界の潮流であり、中国においてもその流れは一層強まるであろう。しかしながら、IT革命が引き起こしたドットコムバブルや証券化革命が引き起こしたサブプライム問題のように、新しい金融イノベーションの発展初期においては、発展の裏に隠されたリスクを充分に注視しつつ有効な方法を取り入れて管理しなければ、投機マネーが一斉に押し寄せてネット金融バブルが形成されてしまい、最終的にはインターネット金融サービス自体の持続的発展が阻まれることになってしまう。
本レポートでは、主にインターネットによる資産運用と融資に着目し、中国のインターネット金融サービスに存在する潜在リスクの分析を行った。1つ目は伝統的金融商品と類似するリスク、2つ目はインターネット金融商品特有のリスクである。
※掲載レポートは中国語原本レポートにおけるサマリー部分の和訳です。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
金融リスク抑制の十年を点検する
2018年09月20日
-
中国社会科学院「今後の不良債権に対応するために実施すべき三つの方策」
2018年03月08日
-
中国社会科学院「中国のシャドーバンキングの発展段階、主な特徴、潜在リスク」
2017年09月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日