2013年7月 「デトロイトの財政破綻が中国の都市に与える五つの教訓」

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2013年09月09日

  • 鄭聯盛

7月18日、米国のデトロイト市は連邦破産法の適用を連邦破産裁判所に申請した。デトロイト市は200億ドルもの債務を抱えており、破産法の適用を申請した米国の自治体の中で史上最大の規模である。


米国産業システムにおける代表的な都市から負債200億ドルの破産都市へ、デトロイト市はどのように悲惨な没落の道を辿ったのだろうか。産業の空洞化、人口減少に伴う社会問題や不健全な財政状況などが崩壊の原因であったと考えられる。


産業の空洞化はデトロイト市が崩壊に至った根本的な原因である。自動車産業における変化、とりわけ日本の自動車産業の攻勢やデトロイト市特有の社会問題によって、デトロイト市の空洞化は徐々に進行した。そして、2008年の米国金融危機が致命傷となった。


人口の減少と産業の空洞化は重大な社会問題をもたらした。デトロイト市では犯罪が横行し、経済や社会の発展は悪循環に陥った。失業率は大幅に悪化、犯罪発生率は上昇し、都市インフラは麻痺状態に陥った。


また、デトロイト市の財政が自動車産業に極端に依存していたことや、ずさんな財政運営も破綻に至った根源であった。


デトロイト市の破綻は、中国の経済構造の変化や、地方財政の歳入の持続性、財政の健全性、ひいては経済社会の協調的発展などにとって、参考に値する事例と言える。


(以下では、デトロイト市の事例が中国に対してもたらす教訓を五つ取り上げる。)

  1. 経済構造の変化の過程において、産業構造の転換は必然の帰結と言える。従来の産業構造に固執することは経済発展を考える上でリスクであり、産業構造の転換は財政破綻を避ける一助となる。
  2. 地方財政の収入源が特定の産業に集中することは、潜在的に重大なリスクがあることを意味する。
  3. 地方財政の健全性は財政の持続的な維持運営のための基礎である。
  4. 都市の発展には、産業の発展と就業機会の確保が不可欠であり、産業、経済、社会は協調して発展すべきである。
  5. 中央政府は地方政府の財政状況と財政リスクを把握し、地方の財政リスクには有効な対処策を講じるべきである。


※掲載レポートは中国語原本レポートにおけるサマリー部分の和訳です。

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