最近、金融監督当局の上層部が市場化改革を推進する意思を明確にしていることは支持すべきである。金融監督当局は株価の変動ばかりに注目し、企業のために行政の介入によって株価をテコ入れしている現状から脱却して、多くの先進国の金融監督当局のように「株式市場の監督および法律執行部門」という本来の役割に立ち返り、取引の公平性を集中して守り、かつ情報の透明性を保障し、規定に違反した企業は取り締まらなければならない。
同時に監督管理の対象範囲をいくらか小さくする必要がある。現在、証券監督管理委員会は常に資本市場の発展を推進する必要があることを強調しており、政府も積極的に資本市場全体の発展計画を策定しているほか、意見を求めている。だがその概念について見てみると、資本市場の範囲は期限が一年以上の各種貸出と証券取引の場であり、株式市場よりはるかに大きい。金融監督当局と政府の視点から見れば、監督管理の対象は株式市場と債券市場を主とした標準化された証券市場であるべきであり、視野を広げすぎないようにすべきである。
株式市場の深層にある問題は往々にして株式市場の外にその原因があることは認めなければならない。例えば、公共部門投資における「クラウディングアウト効果」は実際には民間企業の投資収益率に制約を与えることで、企業収益の発展余地を狭めている。国有企業は非流通株改革を多く行っているが、裏で様々な行政介入が行われているため、投資家に対して責任を負うことは難しい。このような状況のもと、優秀な公開企業から上場企業を選抜することは困難となっており、株式市場の真の投資価値を低からしめている。他に、一般市民が投資できる金融商品の不足や個人の社会的、商業的な保障の不足、収入の二極化などが突出している現在、個人の財産性収入(保有する銀行預金や証券、および不動産などから得られる収入)を増やす重要な手段を株式市場に求めるのは無理があり、公衆の利益を容易に損なうものである。さらに重要なことは、一般的に企業間の信用取引(掛け取引や手形取引など)が健全でなく、市場経済の倫理や道徳が欠如し、優者には報奨、劣者には処罰を与えるゲームにルールが作られることが待たれており、株式市場のみ改革することは難しくなっている。
株式市場改革は既に核心的な問題に取り組む段階に到ったと言える。この段階では、市場組織、技術、商品面での改革は難しくない。表面上の問題はいかに公平かつ有効なゲームのルールを作るかであり、また深層にある問題は異なる利益集団をどのように制御し、協調させるかである。具体的には、国有企業の再編や株式会社への転換など大きな目的に対し株式市場が奉仕することから脱却させられるかということや、新興産業や中小企業、三農(農民・農業・農村)などの戦略を過度に強調しないこと、企業を上場させることを地方政府や行政部門の政績から徹底して切り離し、行政による介入を減らすことが挙げられる。さらに金融監督当局にとっては、国際経験を参考にして株式発行と上場の分離を実現し、証券取引所の行政改革を推進し、株式市場の上場基準に照らして上場を行うなど金融監督管理部門の利益問題にも及んでくる。
つまり、新たな株式市場改革の筋道は、まず、市場経済の「二次改革」を進めるという環境下で、株式市場の発展の基礎と外部環境を整備する。次に、情報の透明化と民主的な監督から着手して、公開化メカニズムの建設を通して各方面の主体が公平に取引することができるようになれば、現代の経済の中で次第に株式市場はあるべき正常な状態になるのである。
※掲載レポートは中国語原本レポートにおけるサマリー部分の和訳です。
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