2013年3月 「「国五条」実施細則には不動産価格抑制への決心が表れている」

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2013年04月05日

  • 易憲容

「国五条」(不動産価格抑制策)発表後も一線級都市の中古不動産価格は変わらず高騰し続けている。それだけではなく、多くの都市で土地取引が更に過熱している。市場は「国五条」の発表に対しこのような反応を示したものの、その後10日以内に「国五条」の実施細則が決定されたことで大きな衝撃を受けた。


実施細則の迅速な決定は、新中央政府が現在の住宅価格の上昇に対して厳しい認識を持っていると想定されるが、さらに重要だと考えられることは政府が不動産市場へのマクロコントロールを行っていく決心を示したことである。いかに不動産市場を健全に発展させるかが新中央政府の最も重要な任務なのである。


このたび発表された「国五条」実施細則にはいくつか注目すべき特徴がある。まず、すべての不動産市場へのマクロコントロール政策を2010年の「国十条」の原点に戻すこと、多くの新政策を打ち出すのではなく、「国五条」実施細則に政策の継続性を持たせていることである。


次に、市場は「国五条」実施細則の核心的内容の二点に注目している。一つは差別化された住宅融資政策のさらなる細分化である。もう一つは20%の不動産譲渡所得税徴収の復活を強調していることである。


差別化された融資政策について、市場が注目しているのは中古不動産の頭金割合および利率の引上げである。だが核心的内容はこれだけではなく、市場にとっては差別化された住宅融資政策の更なる細分化の方が重要である。この細分化には購入数や信用基準、都市ごとの区別がある。このような状況では不動産の購入者や不動産開発業者、銀行などを含めた住宅市場全体の予想は変わりやすく、住宅市場に大きな変化が発生することになる。不動産開発業者にとって、これらの政策が市場にもたらす影響は過小評価できない。


20%の不動産譲渡所得税の徴収は市場に驚きをもたらした。不動産市場へのマクロコントロールが始まって以来、最も厳しい政策の出現である。この政策が復活したことについて市場はその厳しさに驚き、一方で不動産価格の安定や不動産投資の抑制に役に立たないのではないかとも考えている。税金の徴収は住宅価格を更に高くするだけにすぎないと見る人もいる。なぜなら不動産の売り手はこれら税金の支払いを購入者に転嫁する可能性があるからである。住宅価格が継続して上昇する場合、税金は購入者が払わされる可能性がある。購入者がこのようなコスト負担を受け入れなければ取引は成り立たない。しかし、不動産譲渡所得税を徴収することで住宅価格が下落した場合、状況は全く違うものになる。なぜなら住宅価格が下落すると、税金の支払は売り手から買い手に転嫁されず、住宅の売り手にとっては売却が難しくなるからである。また、税負担が購入者に移れば住宅取得にかかるコストがさらに高くなるのは言うまでもない。20%の譲渡所得税を誰が負担するのだろうか。最も重要なことは「国五条」で不動産価格に理性を取り戻すことができるかどうかである。

上述の分析で判明したことは、「国五条」実施細則が決定されたことは、住宅市場に大きな衝撃をもたらすだけでなく、根本的な変化をも生じさせる。しかも新政府は発足後、不動産市場へマクロコントロールに対して全く手を緩めることはなく、さらに多くの政策によって不動産市場を消費主導の市場へ戻し、不動産バブルを防止することを表明している。


※掲載レポートは中国語原本レポートにおけるサマリー部分の和訳です。

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