現代中国の社会、経済、生活にある様々な矛盾と問題について、既得権益関係の改革は避けては通れない道である。なぜなら、改革こそが不合理な利益関係を正常にすることができる上、新たな利益関係のバランスを取ることができるからである。このように人民の仕事や生活における積極性と潜在能力を真に引き出し、刺激することによって、社会経済全体を発展させる巨大な動力と活力が形成されるのである。
両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)が閉幕し、正式に全ての権力を掌握した新政府指導部はこれからの政治ビジョンを詳しく述べている。習近平総書記は「中国の夢を実現し、人民が人生における出色の機会と幸福を共有するには、利益集団の妨害を排除しなければならない」と話し、李克強総理は中外記者会見において、「民生を改善し、社会の公正を作り上げるには、壮士(豪壮勇敢な人)が腕を断つような思い切った方法で改革を推し進めなければならない」と述べている。このことから、李克強氏は「改革総理」とも呼ばれるようになった。改革は中国経済が将来安定的に発展するうえで最大のボーナスであるだけでなく、新政府が全面的に政策に取り組む際の切り口になるといえよう。
なぜなら新政府成立後、社会や経済など各方面の安定性および各政策方針の継続性を保つことは確かに重要ではあるが、より重要なのは中国経済の継続的かつ安定的な発展に影響を与える多くの矛盾と問題に対面していることである。たとえば、社会経済の多重の不均衡、貧富の差の拡大、東部と西部間および都市と農村間の発展の著しい不均衡、投資と消費のアンバランス、不動産バブルの肥大化、大気汚染や自然資源の乱開発、金融セクターの過度な拡大などの問題である。新政府はこれらを解決する方法を全力で探さなければならない。つまり一連の重大な制度改革を推進し、現有の利益構造を打ち破らなければならない。そうでなければ、「改革のボーナス」は何から得られるというのか?
※掲載レポートは中国語原本レポートにおけるサマリー部分の和訳です。
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