最近、村山元首相を含む日本の重要人物が度々北京を訪れていることは安倍内閣が中日関係の改善を希望しているといった印象を受ける。その一方、現在日本国内では右翼の勢力が増してきており、自民党の「平和憲法」改正という方針にも全く変化はない。安倍首相は2012年の年末に政権に返り咲いた後、中日両国は戦略的互恵関係の原点に立ち返らなければならないと主張したが、両国間で2006年に至った戦略的互恵関係をこのような情勢の下で継続することは実質困難であろう。
対日戦略はわが国におけるグローバル戦略の構成要素であり、対日政策を決定するに当たって守るのは互恵協力の原則である。戦略的互恵関係とは2006年に政権を担っていた安倍首相が当時提起したもので、中日関係を処理する際、歴史問題は横に置き、経済協力や環境保全、人的交流の上でより努力をするということである。 安倍首相は先ごろ、両国が戦略的互恵関係の原点に戻ることを希望すると表明した。しかしながら、この原点には尖閣諸島問題を解決することは含まれていない。こうしてみると、戦略的互恵の原則は中日両国が核心的利益で対抗している現実においては全く無力であり、存在意義を失ってしまう。ある論評によると、安倍首相が当時提出した戦略的互恵関係を成立させたのは便宜的措置にすぎなかったという。日本の政策制定者やブレーンによると、戦略的互恵とは利益獲得であり、そうでなければ無用である。だが中国人にとって、戦略的互恵とは大局を考慮し、大同小異を求めることである。つまり、中日双方の戦略的互恵の概念は共通認識には至っていないのである。
※掲載レポートは中国語原本レポートにおけるサマリー部分の和訳です。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
金融リスク抑制の十年を点検する
2018年09月20日
-
中国社会科学院「今後の不良債権に対応するために実施すべき三つの方策」
2018年03月08日
-
中国社会科学院「中国のシャドーバンキングの発展段階、主な特徴、潜在リスク」
2017年09月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日