2012年のアジア太平洋地域の経済は「欧州債務危機」の影響によって外需が落ち込んだことから、地域内の経済連携と相互依存が深まった。地域一体化の構築と発展は2012年のアジア太平洋の経済関係の新しい変化を象徴している。中でも環太平洋経済協定(TPP)は進展が比較的早く、4回の交渉を経て具体的な進展があり、既にメキシコとカナダが正式に交渉へ加わっている。中日韓の自由貿易協定(FTA)交渉については何度か曲折があったものの、年内の交渉開始が決定されている。だが、中日、韓日間の領土問題が交渉の進展を阻む可能性があることから、FTA交渉のこの先数年の発展は困難であると予想される。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)はASEANが2012年2月に提案した地域一体化計画であり、正式な交渉は昨年末に始まった。ヨーロッパとアジア太平洋地域の提携はAPEC首脳会議でロシアが提出した地域一体化構想であるが、提出されたばかりの状態でまだ進展はない。今後、進展が予想されるのはTPPが最も早く、その次がRCEP、中日韓FTAは3番手となり、ヨーロッパとアジア太平洋地域の提携については実現が難しいであろう。
※掲載レポートは中国語原本レポートにおけるサマリー部分の和訳です。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
金融リスク抑制の十年を点検する
2018年09月20日
-
中国社会科学院「今後の不良債権に対応するために実施すべき三つの方策」
2018年03月08日
-
中国社会科学院「中国のシャドーバンキングの発展段階、主な特徴、潜在リスク」
2017年09月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日