中国:3中全会・全面的改革深化のポイント

民営企業のてこ入れ、不動産不況への対応は不十分

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2024年07月23日

サマリー

◆2024年7月15日~18日に開催された中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)は「改革を一段と全面的に深化させ、中国式現代化を推進することに関する党中央の決定」(以下、「決定」)を審査・採択した。決定は15章60項目からなり、経済面で記載量が多かったのは、科学技術体制改革の深化と財税体制改革の深化の2つであった。

◆科学技術体制改革を重点としたのには、習近平総書記が「民族復興」の偉業達成を標榜する中、米国との覇権争いに挑み続けるためにも、中国経済の持続的な発展のためにも「科学技術」や「イノベーション」が必要不可欠との判断があろう。財税体制改革は、疲弊する地方経済のてこ入れが主目的のひとつだと考えられる。「決定」は、地方の自主財力の増加、地方の財源の拡充、地方の税収管理権限の拡大、さらには中央政府から地方政府への財政移転の拡大などの政策を列挙している。

◆民営企業のてこ入れや不動産不況に関連する記述もあるが、抜本的な改革とはいえない。例えば、今回の不動産不況では、もともと健全な財務体質であったところも売上が激減し、業績悪化・資金繰り悪化から民営デベロッパーの債務不履行(デフォルト)が続出した。放漫経営が祟った一部デベロッパーをどう市場から退場させ、政策の悪影響によりデフォルトを余儀なくされたデベロッパーをどう支援するのか、道筋は見えない。

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