サマリー
◆3月5日に第13期全国人民代表大会(全人代)第2回会議が開幕し、2019年の政府成長率目標は前年比6.0%~6.5%(以下、変化率は前年比、前年同月比)というレンジで提示された。目標は2017年~2018年の6.5%前後から引き下げられた。政府活動報告は、2019年の重点活動任務の筆頭に「マクロコントロールを革新・充実させ、経済の動きを合理的な範囲内に確実に保つ」ことを掲げ、2017年~2018年に最も重視された「サプライサイドの構造改革」は重点活動任務から姿を消した。当面は構造改革よりも成長維持を優先する姿勢が示された格好である。
◆昨年夏場以降の金融緩和により、行きすぎたデレバレッジは修正されつつあったが、2019年1月の社会資金調達金額の増減額は50.5%増の4.64兆元と一気に急増した。社会資金調達金額の急増はリスク含みである。負債率がさらに高まれば、将来的な金融リスクは一段と高まるためである。結局のところ、中国政府は短期的には構造改革よりも成長率の急減速を回避することを優先しているのであるが、そのツケは将来的に、金融リスクの増大となって跳ね返ってくる可能性が高い。デレバレッジは中長期的に維持される必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国経済見通し:内需不振で強まる減速傾向
2026年は自動車販売台数も急減速(あるいは減少)か
2025年09月24日
-
中国:力不足、あるいは迷走する政策と景気減速
依然不透明なトランプ関税2.0の行方
2025年08月22日
-
中国:年後半減速も2025年は5%前後を達成へ
不動産不況、需要先食い、トランプ関税2.0の行方
2025年07月22日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日