サマリー
「6.18」のネットセールは、日本での知名度は11月11日の独身の日に劣るとはいえ、ここ2年~3年の盛り上がりは凄まじく、中国では「11.11」に比肩する国民的行事となっている。
日本でもよく知られている「11.11」は、ネット販売最大手のアリババが11月11日をシングルの日として、2009年にネットで大セールを展開したのが始まりであった。初回の2009年の「11.11」の売上は僅か0.5億元であったが、2017年には1,682億元(約2.8兆円)に達した。もちろん、同業他社が手をこまねくはずはなく、「11.11」に向けて各社が一斉にセールを仕掛けた結果、2017年の「11.11」は中国全体で前年比43.5%増の2,540億元(約4.2兆円)の売上を記録した。持続的な所得増加が続いたことに加え、インターネットやスマートフォン、電子決済の普及、物流網の発展、そしてSNSやメディアを通じた周知や情報の拡散などが、「11.11」を国民的行事にまで引き上げたのである。
「6・18」はネット販売第2位の京東(JD)の設立記念セールに端を発するが、ここ2年~3年は各社がこぞって参加する一大イベントになっている。今年の「6.18」の中国全体のネット販売は前年比80.8%増の2,845億元(4.7兆円)に達するなど、「6.18」は後発とはいえ、今や独身の日と同様の存在感を持つようになったのである。
6月18日は初夏の入り口で、家電ではエアコンがよく売れる。中国では、主要家電の新規需要が一巡し、都市・農村の普及格差も縮小しているが、ことエアコンに関しては農村部100世帯当たりの普及台数は52.6台と低く(都市部は128.6台)、当面は新規需要に牽引された増加局面が続く見通しとなっている。
さらに、「90后」と呼ばれる1990年以降に生まれた人達の消費には、「(便利さや楽しさを)享受」、「老化防止」などをキーワードに、新たなトレンドが生まれつつある。売上を大きく伸ばした商品には、掃除ロボット、食器洗い機、マッサージチェア、美容器具などがあり、売れ筋は日本と変わらないように見える。ちなみに、美容器具では、女性向けには「洗顔器」や「小顔器」、男性向けには「発毛器」が売れ筋である。
「発毛器」とは初めて聞いたが、形状は幅広のヘアバンドもしくはヘルメットのようなもので、光子エネルギーなるものが直接毛根に作用するのだという。ヘアバンド型が8,980元(15.4万円)、ヘルメット型が6,890元(11.8万円)であった。
筆者は7年にわたる北京駐在中に、「覇王シャンプー」を密かに愛用していた。これは抜け毛防止に効果があるとされ、今は育毛を謳うバージョンアップした商品も売り出されている。個人的な感想ではあるが、誠に残念なことにその効果を感じることはできなかった。商品には開発者と目される人物の肖像が描いてあるのだが、額が相当広いのはどうしてであろう?そのことにもっと早く思いを至らせるべきであった。
中国中央テレビ財経チャンネルによると、発毛グッズが特に人気を集めたのは昨年の「11.11」からで、「生え際を守る戦い」は半年続いているのだという。さて、日本では見たことのない「発毛器」の効果はどうなのだろうか。
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