サマリー
◆2018年1月~4月の固定資産投資は前年同期比7.0%増(以下、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)と、1月~3月の7.5%増から減速した。インフラ投資は2013年から2017年前半にかけて20%前後の高い伸び率が続き、中国の景気を下支えしてきたが、2017年後半以降、特に2018年に入ってその勢いは大きく鈍化している。この背景には、地方政府債務の急増につながり得るPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:官民連携)プロジェクトの一部停止や見直しが広がったことがある。こうした状況は当面続く見通しであり、固定資産投資全体の下押し要因となろう。
◆5月17日~18日に貿易摩擦問題を巡る米中閣僚級協議が開催され、19日に共同声明が発表された。米中が貿易戦争に突入する事態がひとまず回避されることになったのは朗報と捉えられるだろうが、あまり手放しで喜ぶわけにはいかない。合意事項は具体性に乏しく、問題が何時蒸し返されてもおかしくはない。その一方で逆の心配もある。習近平一強体制が構築された中国では、中央の政策の実効性が高く、米国からの輸入を大きく増やすために、日本を含めた他国・地域からの輸入が抑制されるといった事態が生じないかにも目配りが必要となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:力不足、あるいは迷走する政策と景気減速
依然不透明なトランプ関税2.0の行方
2025年08月22日
-
中国:年後半減速も2025年は5%前後を達成へ
不動産不況、需要先食い、トランプ関税2.0の行方
2025年07月22日
-
中国:内巻(破滅的競争)と上乗せ関税の行方
追加関税大幅引き下げでも製造業PMIは50割れが続く
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日