サマリー
◆第13期全国人民代表大会(全人代)第1回会議は、国家主席・国家副主席の任期撤廃などを柱とする憲法改正案を出席者の99.8%の賛成を以て可決した。国家主席は習近平氏が留任し、党中央委員を退いた王岐山氏は国家副主席として、習近平政権の一翼を担い続けることになった。王岐山氏は反腐敗・汚職の陣頭指揮を執ったが、そもそもは経済・金融分野のエキスパートであり、米国との間に太いパイプも有する。米中間の貿易摩擦問題の深刻化回避のために、王岐山氏の手腕が活かされる可能性もあろう。
◆習近平氏の経済ブレーンである劉鶴氏は副首相に就任した。劉鶴氏は市場を重視する改革派と目されており、今後、規制や監督・管理の強化に偏りがちな経済政策運営を徐々に市場に委ねていくことができるか、が注目される。
◆周小川氏の後任の人民銀行総裁には易綱氏が就任した。易綱総裁に求められるのは、マーケットに対して金融・為替政策を丁寧にタイムリーに説明することで、マーケットに余計な疑心暗鬼を抱かせないこと、過剰な反応を長期化させないことではないか。こうした意味では、政治的な野心のある政治家よりも、実務に長けた人物の方が好ましい。今後、易綱総裁はマーケットの安定に責任を負い、それに専念することになる一方、金融改革や人民元の国際化といった政治的判断を伴う政策は、習近平氏やその経済ブレーンである劉鶴氏らのトップダウンで実施される可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日