2018年の中国経済見通し 6.3%程度に減速へ

「一強」への行きすぎた忠誠はリスク要因に

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2017年12月19日

サマリー

◆四半期毎の実質GDP成長率は2015年1月~3月以降、6.7%~7.0%(以下、変化率は前年比、前年同期比、前年同月比)の極めて狭いレンジで推移しているが、名目GDP成長率は2015年10月~12月の6.4%をボトムに、2017年1月~3月には11.8%へと急回復した。両者の差であるGDPデフレーターの急上昇は、工業分野、なかでも川上産業の価格急騰によってもたらされている。企業業績の急回復はデフレ脱却によるところが大きい。


◆2017年の実質GDP成長率は6.8%程度、2018年は6.3%程度となろう。成長率低下は、主に住宅販売不振に伴う関連投資・消費の減速によるものである。政策運営では、①金融リスクなど重大リスクの防止、②脱貧困、③環境汚染防止、が重視される可能性が高い。①と③について、「一強(習近平総書記)」への行きすぎた忠誠はリスク要因になり得る。副作用が大きくなったり、政策が効きすぎるリスクである。2018年は「一強」と「その他(官庁、地方政府)」の関係に、どのように折り合いをつけていくのかが、経済安定にとっての注目点の一つとなろう。

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