サマリー
◆国家統計局によると、2017年7月~9月の実質GDP成長率は前年同期比6.8%(以下、変化率は断りのない限り、前年比、前年同期比、前年同月比)と、1月~3月、4月~6月のそれぞれ6.9%成長からは僅かに減速した。
◆景気の牽引役は消費であり、消費の堅調は所得の改善に支えられている。モノの販売統計である小売売上は1月~3月の10.0%増から1月~6月、1月~9月はともに10.4%増となった。ネット販売は好調を維持し、小売統計に含まれるモノのネット販売は、1月~9月は29.1%増へ加速した。それ以上に好調なのが小売統計に含まれないサービスのネット販売であり、1月~9月は52.8%増を記録した。旅行、教育、文化、娯楽(ゲームなど)といったサービス消費の好調が示唆されよう。
◆固定資産投資は1月~3月の9.2%増を直近のピークに減速が続いており、1月~9月は7.5%増となった。民間の中小企業の資金調達が一層困難になっている可能性は高い。こうした状況下で、中国人民銀行は2018年以降、中小企業向け等の貸出が一定程度以上の銀行の預金準備率を引き下げることを決定した。持続的安定成長に向けた措置として評価できよう。
◆今後の中国経済は、不動産開発投資の減速による固定資産投資のさらなる鈍化が想定されるが、消費が景気を下支えすることで、減速をしても緩やかなものにとどまろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
-
中国:米国の対中追加関税率は累計104%→145%、中国経済への悪影響はほぼ変わらず
中国は交渉(ディール)の用意があることを示唆
2025年04月11日
-
中国:米国の104%追加関税、悪影響には天井
累計104%の追加関税で中国の実質GDPを2.84%押し下げ
2025年04月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日