サマリー
◆市場金利が大きく上昇している。2017年春以降、中国銀行業監督管理委員会(CBRC)は、金融リスクの防止を目的に銀行に対してデレバレッジを指示し、2017年7月20日までに2017年上半期の、2018年1月20日までに2017年年間の進捗状況をCBRCに報告することを求めた。こうした中で銀行間市場での資金供給が縮小し、金利は大きく上昇した。最上級の格付けを有する企業の1年物債券利回りは、4月中旬以降、1年物貸出基準金利の4.35%を上回る状態が続いており、発行体の起債インセンティブは大きく損なわれている。そもそも企業債の発行は、大型国有企業が中心であり、こうした企業の銀行貸出への依存が一段と高まれば、そのあおりを受けて民間中小企業の資金調達が一段と困難になりかねない。
◆4月下旬に開催された中央政治局会議では、金融リスクの防止が当面の重点であることを確認した。同会議では、より多くの資金が、非実体経済(金融投資)ではなく、実体経済(実物投資)に向かうようにする方針が示されたが、金融リスクの防止を目的としたデレバレッジの影響によって、実体経済に対する金融面のサポートはむしろ低下しているのが現状である。今後、景気減速が鮮明化していけば、政策運営の重点は「金融リスクの防止」から「経済成長の安定化」に軸足が移っていくことになろう。
◆足元の景気について、小売売上は底堅い一方で、固定資産投資は減速している。今後は、インフラ投資と不動産開発投資の減速による固定資産投資の鈍化が想定されるが、サービス消費を牽引役に消費が景気を下支えることで、大きく下振れするリスクは低い。中国の実質GDP成長率は2017年1月~3月の前年同期比6.9%を当面のピークに緩やかに減速しよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
米中貿易戦争、勝者は中国
伝家の宝刀・レアアース、輸出先の分散化、迂回輸出
2026年10月02日
-
中国政府が景気テコ入れ策を発表
再貸出限度額の増額、住宅ローンへの1%利子補給
2026年10月01日
-
中国経済見通し:不動産不況、脱却はまだ先
住宅完成後販売への移行は◎。一段と悪化する内需と堅調な外需
2026年09月24日
最新のレポート・コラム
-
一括取得型自己株式取得(ASR)入門
ASRに関する基本的な事項をQ&A形式で解説
2026年10月16日
-
「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」における金融経済教育に関する記述
金融経済教育関連に限ると、大幅な拡充は行われない方向性か
2026年10月16日
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
なぜ企業は同じ情報を何度も提出しなければならないのか
公的統計のデジタル化を問う①-負担軽減の「効果」
2026年10月16日
-
成長投資の先にあるもの ~AI時代に問われる「組織能力」~
2026年10月16日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

