中国:当局が懸念する理財商品の新たな問題

債券市場でのレバレッジ拡大と不良債権のオフバランス化への懸念

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2017年03月07日

  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆ここもと中国当局は理財商品に対する警戒を強めている。背景にはレバレッジ取引の拡大、理財商品を利用した銀行債権のオフバランス化への懸念があると考えられる。


◆市中金利が低下を続ける一方で、理財商品の収益率は下げ止まっている。このため銀行から理財商品資金の運用を委託されたファンド等は収益確保のためにレポ市場を利用したレバレッジの拡大を進めてきた。


◆銀行の理財商品が返済に懸念のある貸出債権のオフバランス化に利用されているのではないかといった懸念も浮上している。


◆銀行業全体で見ると理財商品残高は貸出額合計の3分の1程だが、銀行の規模別で見ると、株式制商業銀行の理財商品残高は貸出額の6割に相当し、リスクが偏在している。


◆中国当局は短期金利の引き上げや、理財商品を広義の貸出と位置付けてリスク管理する等の対応を行っている。

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