サマリー
北京市は2016年11月末までの1年間の期間限定で、省エネ・省資源・排出削減商品に対する補助金政策を実施している。期間終了まであとひと月あまりとなったが、この政策に対する注目度はさほど高くないままで終わりそうである。対象商品のうち、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、給湯器、レンジフード、腰掛便器(少ない水でしっかりと流れる節水効果を問う)は、経済発展段階が進んだ北京市では既に新規需要が一巡し、買い替え需要が中心となっている。やや目新しいものには、空気清浄器と自転車がある。空気清浄器は大気汚染の酷い北京では必需品で、日本人駐在員向けの住宅では一家に一台ではなく、一部屋一台が当たり前と聞く。また、今更自転車?と訝る向きは多いであろう。これは交通渋滞緩和と大気汚染軽減、さらには健康増進が目的である。車ではなく、近距離では自転車、距離が長い場合は例えば地下鉄と自転車の組み合わせによる通勤・通学・外出を奨励し、地下鉄の駅を起点に目的地までを自転車で移動するとの発想である。
北京市では効果が限定的な補助金政策ではあるが、これが全国展開されれば、話は変わってくる。特に注目されるのが農村である。①北京市の政策と同様に、ネット販売が対象となれば、店舗アクセスに制約のある農村の潜在的な需要の掘り起こしが期待できる、②農村では、エアコン(2015年末の農村100世帯当たり保有台数は38.8台)、洗濯機(同78.8台)などの新規需要がある期待できる商品も多い、③収入格差は縮小傾向にあるとはいえ、2015年の農村一人当たりの可処分所得は都市の36.6%の水準にとどまっており、補助金(北京市では1アイテム当たり800元=約1万2,400円)の重みは異なってくる、ことから、政策の導入効果は大きくなると期待される。
排気量1.6L以下の乗用車に対する車両購入税半減措置は2016年末に期限を迎える予定である。その後継として省エネ製品等への補助金政策の全国展開は面白いのではないか。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:26年1Qは予想外の堅調で5%成長
ただし、中東情勢緊迫長期化なら政府目標4.5%~5%成長は困難に
2026年04月17日
-
中国:堅調スタートも持続性には疑問符
不動産不況、需要先食いのツケ、中東情勢緊迫化
2026年03月24日
-
中国:第15次5カ年計画を読み解く
成長率目標は設定されず。数値目標は安全保障の優先度上昇を示唆
2026年03月16日
最新のレポート・コラム
-
中国:26年1Qは予想外の堅調で5%成長
ただし、中東情勢緊迫長期化なら政府目標4.5%~5%成長は困難に
2026年04月17日
-
原油高の国内への波及経路と価格転嫁率を踏まえた消費者物価への影響
原油・天然ガス・石炭価格の10%上昇は物価を最大約0.3%押し上げ
2026年04月17日
-
令和8年金商法等改正法案 有価証券に関する不公正取引規制等の見直し
市場制度ワーキング・グループの提言がそのまま反映される
2026年04月17日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 何故、円安・ドル高が止まらないのか?
中東情勢の混乱が続く中、円安と物価高・実質賃金低下の悪循環が継続するリスク
2026年04月16日
-
ホルムズ海峡封鎖で変わる世界地図—改めて問われる「成長投資」とは?
2026年04月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

