全国展開してこそ意味がある省エネ補助金政策

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2016年10月26日

サマリー

北京市は2016年11月末までの1年間の期間限定で、省エネ・省資源・排出削減商品に対する補助金政策を実施している。期間終了まであとひと月あまりとなったが、この政策に対する注目度はさほど高くないままで終わりそうである。対象商品のうち、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、給湯器、レンジフード、腰掛便器(少ない水でしっかりと流れる節水効果を問う)は、経済発展段階が進んだ北京市では既に新規需要が一巡し、買い替え需要が中心となっている。やや目新しいものには、空気清浄器と自転車がある。空気清浄器は大気汚染の酷い北京では必需品で、日本人駐在員向けの住宅では一家に一台ではなく、一部屋一台が当たり前と聞く。また、今更自転車?と訝る向きは多いであろう。これは交通渋滞緩和と大気汚染軽減、さらには健康増進が目的である。車ではなく、近距離では自転車、距離が長い場合は例えば地下鉄と自転車の組み合わせによる通勤・通学・外出を奨励し、地下鉄の駅を起点に目的地までを自転車で移動するとの発想である。


北京市では効果が限定的な補助金政策ではあるが、これが全国展開されれば、話は変わってくる。特に注目されるのが農村である。①北京市の政策と同様に、ネット販売が対象となれば、店舗アクセスに制約のある農村の潜在的な需要の掘り起こしが期待できる、②農村では、エアコン(2015年末の農村100世帯当たり保有台数は38.8台)、洗濯機(同78.8台)などの新規需要がある期待できる商品も多い、③収入格差は縮小傾向にあるとはいえ、2015年の農村一人当たりの可処分所得は都市の36.6%の水準にとどまっており、補助金(北京市では1アイテム当たり800元=約1万2,400円)の重みは異なってくる、ことから、政策の導入効果は大きくなると期待される。


排気量1.6L以下の乗用車に対する車両購入税半減措置は2016年末に期限を迎える予定である。その後継として省エネ製品等への補助金政策の全国展開は面白いのではないか。

図表1:全国展開してこそ意味がある省エネ補助金政策

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