サマリー
◆中国の住宅価格が大きく上昇している。2016年9月の全国70都市平均の新築住宅価格は、前年同月比11.2%の上昇となった。中国政府は、住宅価格の上昇率が、都市一人当たり可処分所得の伸び率を下回ることを価格抑制の目途としているが、2016年1月~9月の都市一人当たり名目可処分所得は前年同期比7.8%増であり、住宅価格上昇は既に当局の警戒を喚起する水準を大きく超えている。
◆住宅市場が過熱の様相を呈した上海市と深圳市は、2016年3月25日に、住宅価格抑制策を発表した。これが第一幕とすれば、10月の国慶節前後が第二幕である。省都を中心とするティア2都市や一部ティア3都市では、新たな住宅価格抑制策の発表や強化が相次ぎ、その数は20都市に達した。このタイミングで各都市が一斉に住宅価格抑制策を発表したことは、中央政府の意向が強く働いていよう。中央政府がかなりの危機感を有するようになった可能性を示唆しているのである。
◆第一幕では地方政府主導で価格抑制策が発表されるが、これはあまり効かない。本音では住宅価格が上がり、不動産開発投資が増えた方が、地方経済にはプラスであり、第一幕の抑制策は本気では実施されないためである。しかし、住宅価格が上がりすぎると今度は居住用に住宅を購入しようとする一般市民の不満が高まり、社会不安の一因となりかねなくなる。それを回避するために、住宅価格抑制策は中央政府主導に移行し、より強力な措置が講じられていくのである。
◆この第二幕が始まると、政策は効き始める。特に、今回も多くの都市が打ち出している「住宅購入制限」は投資・投機需要を直接抑制する手段としてよく使われ、効果も高い。住宅価格はそう遠くない時期にピークアウトしていく可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:26年2Qは4.3%成長、内需が急減速
4月~6月は政府成長率目標の下限を下回る
2026年07月16日
-
中国:内需テコ入れに利下げは逆効果も
4~6月は4.3%成長に減速。預金準備率引き下げ、財政出動が有効か
2026年07月15日
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
最新のレポート・コラム
-
中間配当の導入は株価を動かすか
開示直後は好感されるも、効果のインパクトや持続力は弱い
2026年07月17日
-
経済産業省「公正な買収の在り方に関する研究会」による企業買収行動指針のポイント・Q&A(案)
指針の趣旨を明確化~「企業価値」や「望ましい買収」とは?~
2026年07月17日
-
「トランプ口座」始動、未来の株主多数輩出
口座開設、「収益獲得」ではなく「次世代投資家との接点」
2026年07月17日
-
データサイエンスを踏まえた年金数理理論の人的資本分析への発展可能性
新たな退職率算定方法による退職要因分析への応用
2026年07月17日
-
AI時代の競争力を生むのは誰か? ~シリコンバレーとシアトルが示す「人材エコシステム」の力~
2026年07月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

