サマリー
2016年から始まる第13次5カ年計画の「提案」で掲げられた5つの発展理念の筆頭はイノベーションであった。「一帯一路」構想は、競争力を失った産業・企業の海外移転を推進する側面を持ち、自国に残った産業を高度化しなければ、空洞化は避けられない。イノベーションの重要性は大きく増している。
「一人っ子政策」の廃止は日本では大きく報じられたが、「提案」における扱いは小さい。今後5年で言えば、労働力不足ではなく、労働力需要の減少に対する懸念が大きいためであろう。このことは国有企業改革の踏み込み不足にもつながっている。
国有企業改革では国有企業を「大きくする」ことに力点が置かれている。一方でイノベーションの担い手として期待されるのは、中小企業、特にベンチャー企業である。「イノベーション主導」と「国有企業の巨大化」は両立しないのではないか。中国がイノベーションを重視した経済発展に移行するには、国有企業と民間企業の競争を促し、効率を高め合うという、本来あるべき国有企業改革への方向転換が必要であろう。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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