中国からの資金流出の現状と潜在リスク規模

貸出、現預金を中心に海外への資金流出が進行

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2016年02月10日

  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆ここもと、中国からの海外資金の流出に対し懸念が高まっている。本レポートでは、中国からの資金流出の現状を把握するとともに、海外による対中国投資残高から、中国の実体経済及び株式市場が抱える資金流出リスクの規模について検証する。


◆2015年1月~9月における外貨準備を除いた金融収支は、▲3,047億ドル(流出超)となった。特に海外資金に関しては貸出と現預金を中心に資金が流出している。


◆海外資金が中国国内の銀行から急速に引き揚げられた場合、銀行がこれまで貸出をしていた企業に対しロールオーバーを拒否する事例が増加する可能性もある。中国国内の企業は資金調達における貸出への依存度が高いため、企業の資金繰り悪化が経営の悪化を招き実体経済に負の影響を与える恐れがある。


◆海外部門が証券投資として保有する株式は中国国内の株式の時価総額の約8.4%と一定の割合を占める。また、海外資金の引揚げが企業の資金繰りを悪化させた場合には、企業の業績悪化という形で株式市場に影響を与える可能性も考えられる。

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