中国公的年金による株式投資開始の影響

収益率の改善に向けて、2016年中にリスク資産への投資を開始予定

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2016年01月25日

  • 経済調査部 研究員 中田 理惠

サマリー

◆中国の公的年金は収支改善のため、2016年中に投資運用を開始することを予定している。


◆「中国社会保険発展年度報告2014」によれば、2009年から2014年までの各年の運用収益率は、一貫して銀行の1年定期預金金利を下回ってきた。


◆中国政府は2015年8月に、公的年金基金による株式を含めたリスク資産への投資解禁に向けた法的な枠組みを構築した。政府の発表から推測すると最大で約6,000億元(約11兆円)の資金が株式に投資される可能性があり、その動向が注視されている。


◆今後の高齢化の進展による財政負担の増加や年金収支の更なる悪化を阻止するために、運用資産の多様化を図ることは適切な方針であろう。また、年金基金の株式市場への参入はボラティリティの高い中国株式市場の安定化に向けた一助となることが長い目で見て期待できる。

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