一人っ子政策廃止でも生産年齢人口の減少は続く

今後5年は6.5%以上の成長維持を強く意識

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2015年10月30日

サマリー

◆10月26日から29日に開催された中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議(五中全会)は、「中国共産党中央の国民経済・社会発展第13次5ヵ年計画に関する建議(提案)」を承認した。


◆事前に予想されていた通りに、2016年から始まる第13次5ヵ年計画の政府成長率目標は明示されなかった。ただし、年平均で6.5%以上の成長が必要との認識は、党・政府内で共有されていると見られる。10月23日に行われた中央党校における講話で李克強首相は、「2020年に全面的な小康(いくらかゆとりのある)社会を実現するという目標を達成するには、今後5年間は平均6.53%の実質成長が必要であり、これを下回れば目標達成は困難になる」旨を指摘した。


◆「一人っ子政策」は廃止される。しかし、「二人っ子政策」の導入効果を過大視することはできない。従前、第二子の生育が認められるのは、「夫婦ともに一人っ子の場合」であったが、2013年11月に「夫婦のいずれか一方が一人っ子の場合」に条件が緩和された。そして今回は「夫婦ともに二人っ子以上の場合でも第二子の生育が認められる」ことになったが、「一人っ子政策」が1979年(厳格適用は1980年)から36年間続くなか「夫婦ともに二人っ子以上」という追加的な条件緩和の効果は限定的であろう。15歳~59歳の生産年齢人口は2011年をピークに減少しているが、これから十数年後以降にその減少ペースが若干緩まる程度にすぎない。

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