サマリー
◆10月26日から29日に開催された中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議(五中全会)は、「中国共産党中央の国民経済・社会発展第13次5ヵ年計画に関する建議(提案)」を承認した。
◆事前に予想されていた通りに、2016年から始まる第13次5ヵ年計画の政府成長率目標は明示されなかった。ただし、年平均で6.5%以上の成長が必要との認識は、党・政府内で共有されていると見られる。10月23日に行われた中央党校における講話で李克強首相は、「2020年に全面的な小康(いくらかゆとりのある)社会を実現するという目標を達成するには、今後5年間は平均6.53%の実質成長が必要であり、これを下回れば目標達成は困難になる」旨を指摘した。
◆「一人っ子政策」は廃止される。しかし、「二人っ子政策」の導入効果を過大視することはできない。従前、第二子の生育が認められるのは、「夫婦ともに一人っ子の場合」であったが、2013年11月に「夫婦のいずれか一方が一人っ子の場合」に条件が緩和された。そして今回は「夫婦ともに二人っ子以上の場合でも第二子の生育が認められる」ことになったが、「一人っ子政策」が1979年(厳格適用は1980年)から36年間続くなか「夫婦ともに二人っ子以上」という追加的な条件緩和の効果は限定的であろう。15歳~59歳の生産年齢人口は2011年をピークに減少しているが、これから十数年後以降にその減少ペースが若干緩まる程度にすぎない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:新5カ年計画の鍵は強国と自立自強
基本方針は現5カ年計画を踏襲、構造問題の改革意欲は低下?
2025年10月24日
-
中国経済見通し:米中摩擦と厳しさ増す内需
固定資産投資は前年割れ。米中貿易戦争は再び激化?
2025年10月21日
-
15・5計画、構造問題への処方箋を出せるか?
5年間の平均成長率目標は設定「できない」可能性大
2025年10月21日
最新のレポート・コラム
-
2025年9月全国消費者物価
政策要因でコアCPI上昇率拡大も物価の上昇基調には弱さが見られる
2025年10月24日
-
中国:新5カ年計画の鍵は強国と自立自強
基本方針は現5カ年計画を踏襲、構造問題の改革意欲は低下?
2025年10月24日
-
公共施設マネジメントと公会計
〜機能する行政評価〜『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
トランプ2.0で加速する人手不足を克服できるか
~投資増による生産性向上への期待と課題~『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
純債務って何?高市総理が目指す財政指標の意味
2025年10月24日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

