サマリー
◆中国人民銀行(中央銀行)は8月11日朝、人民元の対米ドル中間レートの算出方法を変更すると発表した。具体的には、マーケットメイカーは、銀行間外国為替市場が始まる前に、前日のマーケット終値を参考に、外貨需給と国際主要通貨の為替レートの変化を総合的に考慮したうえで、中国外国為替取引センターに中間レートを提示するとした。8月11日の人民元の対米ドル中間レートは1米ドル=6.2298元と発表され、10日の同6.1162元からは1.9%の元安となった。
◆輸出テコ入れを目的に、当面の人民元の対米ドルレートは元安傾向を強めると想定している。2015年1月~7月の中国の輸出(米ドル建て)は前年同期比0.8%減、7月単月では前年同月比8.3%減と大きく落ち込んだ。その要因のひとつが、実質実効為替レートの大幅上昇により、価格競争力にマイナスの影響が出ていることである。今回の人民元の対米ドル中間レートの算出方法変更により元安が進展すれば、中国がこうした状況を変えようとしていることの証左となろう。
◆その一方で、元安による為替差損を嫌気して、域外から中国に流入していた資金が逆流(中国から流出)するとの懸念も出よう。中国の外貨準備高は2014年6月末の3兆9,932億米ドルをピークに、2015年7月末には3兆6,513億米ドルへと3,419億米ドルの減少となった。これは、中国の景気減速によるホットマネーの流出が主因のひとつと見られ、中国政府は、元安による追加的な資金流出懸念よりも、輸出テコ入れによる景気回復に重きを置こうとしているのであろう。ホットマネー流出には監視・規制強化で臨むことになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:敵失による景気押し上げの可能性
米国の中国からの輸入品に対する追加関税は20%→15%に低下
2026年02月24日
-
中国経済見通し:2026年の全人代の注目点
2026年の政府成長率目標は前年比4.5%~5.0%に設定か
2026年02月24日
-
中国:今後10年の長期経済見通し
第15次5カ年計画の基本方針、山積する構造問題に処方箋を出せず
2026年01月21日
最新のレポート・コラム
-
2026年1月鉱工業生産
普通乗用車などの大幅増産により自動車工業が生産全体を押し上げ
2026年02月27日
-
人手不足時代の外国人労働者の受け入れと共生の課題
潜在成長率を年率0.4%pt押し上げ/共生の鍵は日本語教育
2026年02月26日
-
テキスト分析が映し出す金融当局の楽観視
金融当局ネガティブ指数で、金融システムへの警戒感の変化を読む
2026年02月26日
-
ガバナンス・コードはスリム化するか?
原則の統合によって原則数減少、独立性判断方針の「策定・開示」から「策定」へ変更し要開示事項が減少
2026年02月26日
-
消費税減税より「最初の一歩」を。米国のトランプ口座が示す物価高対策
2026年02月27日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日

