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偽輸出と偽輸入のモグラ叩き

今月の視点

2014年12月24日

経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登

サマリー

2012年11月~2013年4月にかけて、本来ならほぼ同じ動きをするはずの中国の対香港輸出と香港の対中国輸入の差が急拡大した。中国の対香港輸出の一部は「偽輸出」とみられ、輸出を隠れ蓑にホットマネーが香港から中国に大量に流入、主に広東省の不動産購入に向かったと推察される。2013年3月には、「偽輸出」とみなしうる金額が中国の輸出に占める割合は、実に15.3%に達した。同年5月以降、当局の検査強化等により「偽輸出」は抑制されたが、水増しされた輸出額を比較対象とする2014年4月までの輸出は、実態はともかく、統計上は低調を余儀なくされた。この影響が一巡した5月以降、輸出は概ね堅調な推移となっている。


一方、「偽輸入」は、中国国内の資金が輸入を装い海外に流出することである。中国の韓国からの輸入額に占める真珠・貴金属の割合は、長らく0.0%~0.1%だったが、2014年9月には全体の16.8%(10月は10.0%)を占めるほどになった。しかし、韓国側の輸出統計で真珠や貴金属の対中国輸出が急増した事実はない。であれば、これは「偽輸入」の可能性が高い。「偽輸出」にせよ、「偽輸入」にせよ、異常な動きは、いずれ叩かれる。


「偽輸入」問題は、金額としてはさほど大きくはないとはいえ、習近平総書記が主導する綱紀粛正が強化されるなか、「裸官」と呼ばれる腐敗官僚・党員が不正蓄財した資金の海外持ち出しが続いている可能性、さらには、中国の景気減速や住宅価格下落を嫌気した企業や個人による、海外への資金シフトの可能性を示唆するだけに、その動きが注目されよう。

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