サマリー
2012年11月~2013年4月にかけて、本来ならほぼ同じ動きをするはずの中国の対香港輸出と香港の対中国輸入の差が急拡大した。中国の対香港輸出の一部は「偽輸出」とみられ、輸出を隠れ蓑にホットマネーが香港から中国に大量に流入、主に広東省の不動産購入に向かったと推察される。2013年3月には、「偽輸出」とみなしうる金額が中国の輸出に占める割合は、実に15.3%に達した。同年5月以降、当局の検査強化等により「偽輸出」は抑制されたが、水増しされた輸出額を比較対象とする2014年4月までの輸出は、実態はともかく、統計上は低調を余儀なくされた。この影響が一巡した5月以降、輸出は概ね堅調な推移となっている。
一方、「偽輸入」は、中国国内の資金が輸入を装い海外に流出することである。中国の韓国からの輸入額に占める真珠・貴金属の割合は、長らく0.0%~0.1%だったが、2014年9月には全体の16.8%(10月は10.0%)を占めるほどになった。しかし、韓国側の輸出統計で真珠や貴金属の対中国輸出が急増した事実はない。であれば、これは「偽輸入」の可能性が高い。「偽輸出」にせよ、「偽輸入」にせよ、異常な動きは、いずれ叩かれる。
「偽輸入」問題は、金額としてはさほど大きくはないとはいえ、習近平総書記が主導する綱紀粛正が強化されるなか、「裸官」と呼ばれる腐敗官僚・党員が不正蓄財した資金の海外持ち出しが続いている可能性、さらには、中国の景気減速や住宅価格下落を嫌気した企業や個人による、海外への資金シフトの可能性を示唆するだけに、その動きが注目されよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:綱紀粛正強化と経済の萎縮
中央委員は5年で2割減の異常。問われることのない任命責任
2026年10月30日
-
中国経済見通し:不動産不況の底打ちに期待
見通しを2026年4.5%→4.6%、2027年4.2%→4.4%に引き上げ
2026年10月22日
-
中国:26年7~9月は4.5%成長の低空飛行
さらなる景気テコ入れ策の可能性も
2026年10月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
-
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
-
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
-
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
-
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日
日本の長期金利、2035年に5%台の可能性
2035年に3.5~4.2%程度で、海外保有拡大で1%pt超の上乗せも
2026年10月16日
増える高齢富裕層とその地域分布
高齢富裕層はどこにいるのか、その資産は今後どこへ向かうのか
2026年10月01日
金利上昇と「資本コストや株価を意識した経営」
金利上昇による資本コスト上昇は限定的だが引き続き要注視
2026年10月13日
預貸率における地域間格差
東京都への一極集中と地域金融機関に期待される対応
2026年10月02日
飲食料品の消費減税による消費行動への影響
買い控え・反動増は限定的。外食支援策は実態を見極めた対応を
2026年10月19日

