サマリー
◆国家統計局によると、2014年7月~9月の中国の実質GDP成長率は前年同期比7.3%と、1月~3月の同7.4%、4月~6月の同7.5%を下回った。盛来運・国家統計局スポークスマンは、「7月~9月の実質GDP成長率は確かに減速したが、1月~9月の都市新規雇用増加数は1,000万人を超え、年間目標(1,000万人)を前倒しで達成し、1月~9月の消費者物価上昇率も2.1%にとどまるなど、経済は合理的範囲内で推移している」とコメントし、足元の景気減速は許容の範囲内との見方を示している。
◆当面の経済運営政策上の重点は、もはや高めの成長率維持ではない。(1)無駄な投資と借金を増やさず、潜在的な不良債権を増やさない、(2)既に限界に達している、投資に過度に依存した発展パターンから決別し、消費主導の持続的安定成長への舵を切ること、の2点であろう。債務の急膨張を抑制し、構造改革を推進し、その過程で成長率が若干低下するのを容認するのである。今後は、信託商品の選別的なデフォルトや固定資産投資のさらなる減速が想定される。
◆大和総研は、2014年の実質GDP成長率見通しを従来の7.5%⇒7.3%に、2015年は7.2%⇒7.0%へ引き下げる。2015年3月の全人代では、政府成長率目標は3年連続の7.5%前後から7.0%前後へ引き下げられると想定している。7.0%前後という数字は、無理をした高めの成長率を求めないと同時に、安定した雇用拡大を伴う消費主導の発展パターンへの転換を推進するという、中国の意志表明となるのではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日