サマリー
◆中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に注力している。2014年11月に北京で開催されるAPEC首脳会議に向けて、中国は関係諸国と「アジアインフラ投資銀行創設準備に関する政府間枠組覚書」(MOU)を締結する意向である。
◆AIIB構想はインフラ整備資金の調達の観点からみれば、アジア地域全体にメリットがある。インフラを整備したい国にとって、その整備資金を低利で借りることができれば、既存の国際機関からの融資や市場での調達など以外に資金調達経路を確保できるためである。
◆中国は自らが影響力を存分に行使できるAIIBを新たに設置し、ADBと競う形で途上国融資を開始しようとしている。中国にとって、アジア諸国への投資は国益につながるし、地域での影響力を拡大することができる。インフラ建設の受注を中国企業が獲得することも狙いの一つである。さらに、AIIBでは、各国自国通貨建ての貿易、投融資や資金調達が推進される。人民元は、その中核となりうる。
◆AIIBの設立は、中国にとってのメリットが大きい。しかし、そこに落とし穴がある。中国の中国による中国のための国際金融機関になりかねないリスクである。AIIB成功のカギは、中国の一人勝ちではなく、いかにしてWIN-WINの関係を構築できるか、さらには公正・公平な制度を担保し、透明性のある情報開示を行うことができるか、である。求められるのは、今までの延長ではなく、責任ある大国としての意識変革ではないか。少なくとも早い段階で既存の国際金融機関との役割分担や、これらとの協調性や補完性が確保されていることをきちんと説明しなければならないだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米中貿易戦争、勝者は中国
伝家の宝刀・レアアース、輸出先の分散化、迂回輸出
2026年10月02日
-
中国政府が景気テコ入れ策を発表
再貸出限度額の増額、住宅ローンへの1%利子補給
2026年10月01日
-
中国経済見通し:不動産不況、脱却はまだ先
住宅完成後販売への移行は◎。一段と悪化する内需と堅調な外需
2026年09月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

