中国:株式市場制度改革の現状と展望

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2014年05月23日

サマリー

◆2011年10月に、朱鎔基・元首相を支えた「四天王」の一人で、強い改革志向を持つとされる郭樹清氏が中国証券監督管理委員会(CSRC)主席に就任した。郭樹清氏は、2013年3月に山東省・省長に転じたが、CSRC主席在任中の短い間に、株式発行制度改革、QFIIの認可額上限の引き上げと資格認定要件の緩和、上場廃止基準の強化など、矢継ぎ早の制度改革を実施した。本稿では、後任の肖鋼CSRC主席の下での株式市場制度改革を含めて、その背景と概要を解説し、評価を行う。


◆2013年11月に開催された中国共産党第18期第三回全体会議(三中全会)は2020年までの諸改革の方針を示し、資本市場の改革も重点の一つとされた。これを受けて、2014年5月8日付けで国務院は「資本市場の健全な発展をさらに促進することに関する意見」を発表した。通常、資本市場については監督官庁であるCSRCが通達や意見を出すが、国務院という上位組織がこうした「意見」を出すのは2004年以来10年ぶりとなる。2020年を見据えた株式市場改革では、情報開示の透明性向上など情報の非対称性に起因する市場の歪み是正と、多層的な株式市場の構築が不可欠である。資本市場改革というより広い範囲では、企業債券(社債)市場の発展が極めて重要な意味を持とう。

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