サマリー
◆中国でシャドーバンキングが膨張している。そのなかで圧倒的な存在感を持つのが、銀行が仲介する理財商品と信託会社の信託商品である。両者には様々な問題が指摘されているが、大和総研が最大の問題と捉えるのは、経営不振企業や不採算プロジェクトの元本を地方政府や信託会社が負担する「損失補てん」が行われているため、よりハイリスク・ハイリターンであるはずの信託商品でさえ、元本割れやデフォルトの実績がないことである。元本割れがなく、高利回りであれば、投資家の選好は高まるばかりで、これが理財商品と信託商品の残高急増をもたらしている。重大なモラルハザードの発生である。
◆こうしたなか、2014年1月31日に満期を迎える30.3億元の信託商品がデフォルトに陥るとの騒動が発生したが、その原因のひとつが経営者による経済犯罪だったこともあり、従来通り「元本は保証」で決着するもようである。これにより、理財商品や信託商品の雪崩式の解約は避けられ、金融システムの安定は保たれるとみられる。しかし、その一方で、理財商品と信託商品に対するモラルハザードは増長されよう。
◆今後販売される理財商品や信託商品については、(1)所轄官庁による監督管理の強化、(2)特にリスクに関する情報開示の徹底的な強化と透明性向上、(3)投資家の自己責任の原則の徹底周知、(4)銀行、信託会社による投資・貸出先のモニタリングの強化、などが必要不可欠である。モラルハザードの蔓延を改善するには、期日を区切って、それ以降販売される理財商品と信託商品については、自己責任の原則を適用すると宣言することが第一歩となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米中貿易戦争、勝者は中国
伝家の宝刀・レアアース、輸出先の分散化、迂回輸出
2026年10月02日
-
中国政府が景気テコ入れ策を発表
再貸出限度額の増額、住宅ローンへの1%利子補給
2026年10月01日
-
中国経済見通し:不動産不況、脱却はまだ先
住宅完成後販売への移行は◎。一段と悪化する内需と堅調な外需
2026年09月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

