サマリー
中国審計署(日本の会計検査院に相当)が2013年12月30日に発表した「全国政府債務会計検査結果」によると、2013年6月末の地方政府債務・偶発債務は合計17兆8,909億元、2012年のGDP比は34.4%だった。全体として大きな問題はないようにみえる。
しかし、中身をみれば問題は山積している。例えば、偶発債務は、政府保証債務と、政府保証はないが政府が一定の救済責任を負う可能性のある債務の合計であり、債務者が返済不能となった場合に政府債務になり得る債務である。偶発債務の返済のうち、財政資金が負担した割合は2007年以降の最高でそれぞれ19.1%、14.6%に達している。返済済みであるため不良債権と認識されないが、少なくとも返済義務のある債務者やプロジェクトが返済不能に陥っていることは事実であり、潜在的な不良債権比率はかなり高いと推察される。このほか、①市、県レベルといった下位政府の債務が急増しており、1/4の市で債務比率が100%を超えている、②債務の86.8%が資金回収期間の長いインフラや公共事業関連に支出されているが、債務の53.8%が2015年末までに返済期限を迎える、③債務返済における土地使用権譲渡収入への依存度が極めて高い、などの問題も指摘される。③は2013年のように、土地使用権譲渡収入が急増すれば、地方政府の債務返済能力の増強につながるが、不動産価格が下落し、譲渡収入が減少すれば、一転して債務返済能力の脆弱性が露呈するリスクを内包している。
先ずなすべきは、地方政府債務・偶発債務残高をこれ以上急増させないことであり、2014年の重点政策のひとつとなろう。
会計検査結果公表の翌日、国家発展改革委員会は(1)地方政府融資平台の高利短期債務を中長期の社債に置き換えるなど、債務再編を強化する、(2)資金不足に直面するプロジェクトに対して債券発行による債務返済とプロジェクト再開を認可する、ことを発表した。潜在的不良債権の抜本的な処理をするのではなく、返済期限の長期化と分散化によって問題を先送りしつつ、徐々に処理を進める方針なのであろう。
こうした方針が堅持される限り、地方政府債務問題が暴発して中国経済が失速する可能性は低い。ただし、債務増加を抑制するなかでの既存債務の固定化により、新たな資金調達は限定される。地方政府債務問題の帰結はある程度の成長鈍化となろう。
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