サマリー
◆2014年は三中全会で示された方針を実行に移す「改革深化元年」となるかが注目される。その本気度を測る最初の試金石が、2012年、2013年は7.5%であった政府の成長率目標が、2014年に若干でも引き下げられるか否かであろう。大和総研は期待を込めて成長率目標を7.0%と仮定して、2014年の実質GDP成長率見通しを7.2%と予測している。2014年の固定資産投資の伸びを2013年の実績比で2.6%ポイント低い前年比17.0%増とした。東西格差縮小の要請や環境保護対策の緊急性からインフラ・環境保護投資が全体の下支えとなるが、製造業向けが鉄鋼、セメント、ガラスなど生産能力過剰業種を中心に、伸びが減速するとみている。
◆2014年の消費動向について、所轄官庁である商務部は、持続的な所得増加や省エネ・環境保護意識の高まりに伴う消費構造の高度化やネット販売の急成長、さらには農村での販売拠点・販売網の拡充による消費需要の掘り起こしに期待をしている。ただし、ネット販売の急成長は、百貨店やスーパーなど従来型小売店からのシェアを奪う側面がある。2014年の消費は昨年とほぼ同レベルの伸びと想定している。
◆「偽輸出」問題は、グローバルな資金移動の変化が中国経済にも影響を及ぼし得るとの示唆を与える。資金流出が発生した場合は、特に、不動産価格の動向に要注意である。2013年は不動産価格上昇や土地使用権売却収入増加により、地方政府債務の返済能力が増強され、不良債権の急増リスクが大きく低下した面がある。その歯車が逆転しかねないリスクを内包するためである。
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