脱アジアが鍵になる中国のFTA

~TPP参加も一つの戦略に~『大和総研調査季報』 2013年秋季号(Vol.12)掲載

RSS

2013年12月02日

サマリー

米国がアジアにおける覇権のリバランスを図っている。中国は、それを再度リバランスすることに焦点を定め、経済大国の米国に対抗すべく日中韓FTAの締結交渉を進めており、その核心は日中経済の結合強化だった。


一方で、中国は2013年5月に米国からTPP交渉への参加を打診されており、それに応える形でTPPへの関心を表明した。TPP交渉参加国の貿易における中国依存度を考慮すると、既に進行している交渉条項にも米国などが譲歩をみせる可能性もある。TPP交渉への参加は中国の存在感を示す場にもなるであろう。


TPP交渉への参加を本気で行うことになれば、中国は多くの障壁にぶつかる。しかし、着々と中国国内ではTPP導入に備えているとも解釈可能な国内調整が続いている。また、TPPは中国がグローバル・スタンダードを導入する、あるいは中国がグローバル・スタンダードを世界に提案するよい機会になるだろう。TPPは脱アジアが目標となるであろう第13次5カ年計画期間における中国の対外政策を地固めする意味も有する。


大和総研調査季報 2024年秋季号Vol.56

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

大和総研調査季報(最新号はこちら)

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。