サマリー
2013年7月~9月の成長率が3四半期ぶりの成長加速となり、安心感が広がっている。しかし、一方で短期的な景気下押しリスクが芽吹いていることにも目を向けなければならない。数ヵ月以内に顕在化する可能性が高い主なリスクは以下の2つであろう。
ひとつは、より厳しい不動産価格抑制策が発動されるリスクである。2013年9月の全国70都市新築商品住宅価格は前年同月比9.1%上昇し、なかでも北京市は同20.6%、上海市は同20.4%、広東省広州市は同20.2%の上昇を記録している。2013年3月の住宅価格抑制策では、主要35都市に新築商品住宅価格の抑制目標を設定することを求め、ほとんどが当該地域の都市住民一人当たり可処分所得の実質伸び率を下回ることを目標に掲げた。しかし、1月~9月の北京市の都市住民一人当たり可処分所得は、実質で前年同期比6.6%増、上海市は同6.3%増にとどまり、住宅価格抑制目標は全くの未達成に終わろうとしている。数ヵ月以内に、さらに厳しい価格抑制策が発動される可能性は高い。
もうひとつは、大気汚染対策のための生産・経済活動停滞リスクである。中国の大気汚染の酷さは日本でも報道されている通りであり、10月21日には北京市が、大気汚染警報制度の導入を発表した。最も軽い4級でも大気汚染指数(AQI)201~300と、健康に深刻な影響が出る可能性がある重度汚染であり、最も重い1級はAQI301~500の厳重汚染が3日間継続すると予測される場合に発表される。1級警報はまさに非常事態宣言といえ、①事前に指定された工業企業は生産停止もしくは生産制限を行う、②ナンバープレートの奇数・偶数による車両通行制限を行う、などの措置が講じられる。北方では「暖気」と呼ばれる石炭燃焼による蒸気暖房設備が稼働するため、冬場には大気汚染の深刻さが一段と増す。他地域でも北京市と同様の措置が導入される可能性は高い。
しかし、上記大気汚染対策は対症療法にすぎない。より根本的にはエネルギー消費に占める非化石燃料のウエイト上昇や、硫黄分が多く汚染物質をまき散らしているガソリンの劇的な品質向上などが不可欠である。環境保護投資の増強はいうまでもない。これらの取り組みが新たな成長機会を提供することも事実であり、リスクが喧伝される際には、それと表裏一体にあるチャンスにも注目すべきなのであろう。
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