サマリー
◆中国人民銀行は7月20日以降、貸出金利の下限を撤廃した。ただし、個人の住宅ローン金利の下限は基準金利の0.7倍で変わらない。今回の措置は金利自由化に向けた大切な一歩であるが、貸出金利の下限が撤廃されたからといって、金利が大きく下がるわけではない。当然のことながら、貸出基準金利を引き下げたり、窓口指導で貸出基準金利を下回る貸出のウエイトを高める方が、金利低下効果は遥かに大きい。
◆中国の金利自由化の次の一手は、預金金利の上限引き上げである。預金金利は長らく固定金利であったが、2004年10月に基準金利を下回る金利設定が可能になり、2012年6月になってようやく上限が基準金利の1.1倍に引き上げられた経緯がある。中国には預金保険制度が存在せず、金融機関の破たん処理法なども未整備である。次の一手に進むには、こうした制度的な金融インフラの整備が不可欠であり、そのタイミングは慎重に計られよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国:金融緩和など景気刺激策を発表も効果は?
人民銀行総裁が預金準備率の引き下げ、住宅市場テコ入れ策を「予告」
2024年09月26日
-
石破新政権誕生、経済政策の注目点は?
デフレ脱却後も見据えた供給面重視の経済・財政運営に期待
2024年10月03日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
中国経済見通し:なりふり構わぬテコ入れ策発動
金融緩和、住宅市場テコ入れ策、株価対策、国債増発
2024年10月22日
中国:金融緩和など景気刺激策を発表も効果は?
人民銀行総裁が預金準備率の引き下げ、住宅市場テコ入れ策を「予告」
2024年09月26日
石破新政権誕生、経済政策の注目点は?
デフレ脱却後も見据えた供給面重視の経済・財政運営に期待
2024年10月03日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
中国経済見通し:なりふり構わぬテコ入れ策発動
金融緩和、住宅市場テコ入れ策、株価対策、国債増発
2024年10月22日