サマリー
◆全国エネルギー工作会議において、第12次5ヵ年計画期間中のエネルギー消費の総量抑制目標が示されたが、これは、同計画期間中の年平均経済成長率として、計画でうたわれている7%ではなく、8-9%程度を前提にしていると考えられる。
◆エネルギー消費総量抑制は、地方政府や産業に自発的な削減を促していく「倒逼机制」に依っており、実効性には疑問が呈されている。他方、人々の環境問題への不満・不安の高まりが、「倒逼机制」として、従来にも増して、当局に環境問題への取組み強化を促していこう。
◆中国は、温暖化防止国際交渉にあたっては、従来同様、「先進国の歴史的排出責任」、「共通だが差異のある責任」、「持続的成長との両立」、「先進国から途上国への資金・技術援助」等の原則を主張している。
◆中国等新興国の歴史的排出責任も、次第に否定できなくなってきている。こした状況下、日本としては、京都議定書第二約束期間に参加しないのは当然としても、それだけに自主的な削減、国際協力強化が期待されるとともに、これら諸国の新たな国際枠組みへの参加を促す取組みにも注力すべきである。
本稿は、外国為替貿易研究会発行の「国際金融」2012年5月号に掲載された同タイトルの論文を基に、加筆修正したものである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
-
中国:米国の対中追加関税率は累計104%→145%、中国経済への悪影響はほぼ変わらず
中国は交渉(ディール)の用意があることを示唆
2025年04月11日
-
中国:米国の104%追加関税、悪影響には天井
累計104%の追加関税で中国の実質GDPを2.84%押し下げ
2025年04月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日